ニッポンローマジカイ
日本ローマ字会
日本語はローマ字で書きましょう、という運動をしている団体。ルーツの羅馬字会時代を含めると120年以上の歴史がある。初代会長は「日本式ローマ字」を考案した物理学者・田中館愛橘(たなかだて・あいきつ)。最近の悲報で名前を思い出した人も多そうな梅棹忠夫は、エスペランチストで、漢字廃止論者で、ローマ字論者だった。「日本語」の、文化論ではなく、文明論に取り組むため、1993年から日本ローマ字会の会長を引き受けていた。
ローマ字化の目的は日本語表記の合理化・効率化だ。これは仮名文字化でも同じだが、ローマ字化には日本語を世界に開かれた言語にしようとする戦略がある。いずれにしても「表記を簡単に」という主張は明快だ。芸術作品や表現活動なら読みにくい漢字でも創作文字でも自由に使えばよい。持ち駒は多いほうが有利だ。しかし、日本語を情報伝達のツールとして使うときには、合理的で効率的な表記法が望ましい。
表記の問題はワープロ時代だからこそ重みを増している。ホワイトボードに「需要」と書こうとして面倒になって「ニーズ」と書いてしまったような経験はないだろうか?カタカナ語が増える理由の一つには、日本語についてしばしば語られる精神論とは裏腹に、実用面で漢字が嫌われている現実がある。今やブログでは「respectする」「disる」などの字面も珍しくない。「漢字かな交じり」ではなく「英字かな交じり」ではないか!それなのに他人に見せる文書はワープロ書きで漢字だらけ。なんと悲しいタテマエ主義か。地名や人名の漢字を野放しにしたままワープロばかり使っていると、そのうち自分の住所や家族の名前も手書きできなくなりそうだ(個人的には今でも危ない)。
ローマ字化の利点は多い。はじめて見る固有名詞が間違いなく読め、辞書の見出し語や索引が探しやすい。表記の揺れがなく、言葉の境目が明らかなので、検索が楽になる。日本語の学習が容易になって、国内では義務教育の負担が減り、海外では日本文化への理解が深まる。もちろん課題も多い。最大の問題は同音異義語を聞いて分かるように言い換える必要があること(「店頭で転倒した」→「店先で転んだ」)。分かち書きのルール、特殊な音や外来語の表記法など、意見が分かれる点もある。ちなみに、日本ローマ字会では「99式(きゅうきゅうしき)ローマ字」を提案している。
ところで、ワープロのタイピングにスピードが求められるプロと違って、ほとんどの人は「ローマ字入力」だと思う。漢字を書いているつもりで、実はローマ字を打っている。書く行為に限って見れば、ローマ字化が進んでいると言えないこともない。ローマ字論者の負け惜しみだろうか。今は子供にローマ字を教えてひどい目にあう時代ではないのだから、ローマ字に関心を持つ人がもっと増えていいはずだ。
- 2010/09/09登録
- 2028クリック
このキーワードを共有する
-
つながり(1)
つながりキーワード (1)
カナモジカイ
- (サボタン)
日常の日本語から漢字を廃止して片仮名だけで表記しましょうという運動をしている団体。漢字廃止論は江戸時代末期から存在する。カナモジカイの前身「仮名文字協会」も1920年設立で、その歴史は非常に...







