『スーパートレイン』@米TVドラマ(1979年)
先だってシュワ知事が、「カリフォルニア新幹線」の選定視察で来日しましたね。
アメリカってと、「クルマ&ジェット」社会。同じ大国でも中国やロシアと違い、旅客鉄道のイメージが薄い国でございます。それでも低炭素社会に向けて鉄道の整備が必要、とばかり、今回の「新幹線選び」が始まったのですね。
じゃ、アメリカ人が「クルマでもジェットでもなく」列車に乗る、あえて乗りたくなるような「特急列車」を思い描いたことは無いのか?
実は・・・30年前に!一度ありました。1979年、NBCネットが連続TVドラマとして制作した《スーパートレイン》です。
同年2月から5月にかけ、全部で9話分がほぼ毎週放映されるも、そのワンクールで制作は打ち切り。伝説の「豪華特撮TVドラマ」^^;となってしまいました。
NBCにとって、前年には《バイオニック・ジェミー》が終了。そろそろ、かつての大化けヒット《スタートレック (-1969年)》みたいな長期SFシリーズを立ち上げたい!と願っていました。ちょうどハリウッドでは、(TV版から数えて)10年ぶりの《映画版スタートレック》の撮影が快調な時期でもありました。
そこで。次なる「ロングラン人気SFドラマ」を目論み、この《スーパートレイン》に破格の予算を盛ったのです。景気回復が順調だったアメリカ経済・・・その先が「バラ色である」とする予見もありました。翌年のモスクワ五輪の放映権も、NBCはちゃっかりモノにしていました。
っつことで、そんじょそこらの特急列車じゃない。無粋な通勤電車じゃなく、豪遊エンタメ超特急でなきゃならん!と考えました。
『スーパートレイン』は巨費で建造された(世界初の)原子力機関車が引っ張ります。折りしも、全米各地で原発が建設ラッシュを迎えていました。車両内部は列車というより豪華客船を範としています。カジノ、アスレチックジム、プール、バーラウンジ、診療所など、もうナンでも完備^^; でございます。車幅は18メートル(=日本の新幹線をヨコに5両並べた広さ!?)にも及びます。こんなにも広軌だとレールと台車の観測維持に膨大なカネを注ぎ続けないと(レール湾曲や地盤の微動による)自然脱線を防げませんが^^; 鉄道オンチのアメリカ人は気にしないのであります。
アメリカ的には、ただ『地上だから絶対に(飛行機のように)墜ちない。車両が幅広扁平だから脱線しても転覆しない=安全、安心。超リッチな旅行手段♪♪』、という大ざっぱな理屈だけで富裕層が殺到。採算が合う?らしい^^;のであります。実際、ニューヨーク=ロサンゼルス間を36時間で結ぶ・・・というフレ込みですから、平均時速は150キロ/h以下。実は、(見かけのワリに)あんまり速くない。あえて「ゆっくり走る特急」だったりもします(笑)
その撮影用セットだって、つくりモノとは言え安かないです。
実物大の先頭車1両分(と始発駅ホーム)のセットだけで、当時の日本円で13億円!?が投じられました。他にも画像でご覧の『実走仕様モデル(1/16スケール)』とか複数の電動ミニチュアモデルが使われましたから、役者のギャラや人件費を含めた総制作費は天文学的な額に上っただろうと言われております。それもこれも、単なるワンシーズン企画じゃない。少なくともこの先、3~4シーズンは視聴率を稼いでくれる「ロングラン・シリーズ」── その初期投資と見込んでの大盤振る舞いでございました。
・・・が。
NBCの想い描いた「路線図」は、見事なまでに崩れさります。
放映とほぼ同時に、イラン革命が勃発。第二次オイルショックにより、国内景気は急ブレーキがかかります。
数週間後、今度はスリーマイル島原発事故。「鉄道機関に原子力という設定」の持つ現実味はいっきに失われます。
NBCは9話でいったん制作を中断し、原子力機関の安全管理などを含めた構想を練り直した上で、1980年以降に後継シリーズの存続判断を棚上げしました。
11月、イランアメリカ大使館人質事件における弱腰ぶりで、カーター大統領の政権基盤が弱体化。12月、ソ連によるアフガン侵攻。アメリカはモスクワ五輪ボイコットへ・・・
!!!こりゃダメだ。 冷え込む景気。あてにしていた「五輪特需」さえ絶望的に。NBCは《スーパートレイン》の「廃線裁定」を無条件に下さざるを得ませんでした。《バイオニック・ジェミー》以後の人気SFドラマ路線を敷き直す・・・という制作スタッフらの夢は、結局、1982年の《ナイトライダー》登場まで待たされるのであります。 さようなら、夢の彼方の《スーパートレイン》。
【↓ リンク先】 番組スタートを特集する、'79年当時のNBC番組『TODAY』 (You Tube)
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最新コメント5件
2010/09/19
す⊃ぽんはむ ですね。これ以前にも海軍コメディで人気が出てて、その「お笑い」センスを買われたみたぃですが・・・たしかTNGのデータ少佐も「お笑い」俳優からSF作に選抜されたクチでしたね。
す⊃ぽんはむ 日本版DVDは難しいでしょうねえ。>糞袋さん。パイロット版の初回エピソード(2時間ドラマ)分が、地上波で放映されたっきり。。。のようです。(ようつべに原語版が全編UPされてはいますが)
糞袋 (さっきサラッと検索してみました)日本では、『原子力超特急スーパートレイン』とかいう(現在では、とてもとても?な)モノゴッツイ題名で放映されてたらしいですねえ。(ご紹介いただいた原語版を眺めていて、)あぁ・・・、劇伴のアレンジが、今のワタシの趣味に弩ストライク!で泣けました。・・・(舞台芸術とかの未来的センス!)こおゆうのも、”過ぎ去りし未来”とか云うのでしょーか...
2010/09/20
す⊃ぽんはむ デロリアンの発売が81年だそうですから、あのころのカッコ良さですねえ。《謎の円盤UFO》の近未来社会も80年という設定。今にして思うと不思議なレトロフューチャー時代でしたね。ケータイもインターネットもない、児童虐待もマネーゲームもない、そーゆう社会の最終段階だったから「未来に思える」のかも。
糞袋 ああ、デロリアンDMC-12!何かに雰囲気が似ている、と思っていたらソレでしたかぁ!(ドラマの作りも、今はもう有り得ない”濃いい”感じがプンプンしていて、妙にヨカッタです)
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