これが松田優作!? 異色作。そんな
家族ゲーム:森田芳光
本日(25日)夜、TV放送有り(詳細情報・下記)・・・
高層マンションに住む家族。その前には海を臨む風景が開けています。でも、あるシーンでは、その下は無機質ともいえる、丈の高い草が繁る野っ原が拡がっている。それを見せることで、マンションを囲む一帯が埋立地であることを森田芳光監督は示します。
中学の同級生たちがその場所で、宮川一郎太の級友を苛めています。
宮川演じるその弟より先に「名門高校」に入学した兄は、やはり高層マンションの上階に住む同級生女子の部屋の窓からの眺望を見て、「きれいだね!」と、彼女に告げます。私などは、「えッ、、こういう風景をきれいと形容するんだろうか?」、と不思議に感じてしまいます。
兄とおなじ高校に息子を進学させたい故・伊丹十三が演じるサラリーマンの父。兄弟に面白い接し方をする、由紀さおり演じる母。
その一家に、故・松田優作による「家庭教師!?」が・・・。
不思議なフォーメーションで食事する家族・・・。
・・9・27(月)以下加筆・更新。
松田優作はここではあきらかに異人(ストレンジャー)です。マンションの“対岸”から舟で家族のもとに現れ、一家が抱える病理、それもいかにも80年代的ともいえるカジュアルなそれを暴露し、去ってゆく男です。松田がいかにもそれらしい有徴性に満ちています。顔に人間らしい表情が無くてのっぽの大男で、まるで得体が知れない。しかし、次男をきちんとそれなりに導いているところが、観ていていかにも可笑しいのです。
この一家の病はもちろん、あの食卓でのフォーメーションに明らかです。家族が互いに“向き合わない”、微妙に何かを避け合っている関係性。だから、階上の戸川純演じる主婦が、やはり横並びで話しかける由紀さおりに向かっていみじくも指摘するんです、「あのお、この体勢って話しづらいんですけどお・・」って。戸川がきっちり、指摘するんです。「コレ変だよ!!」って。これがいわゆる森田監督の「批評性」ですね。
ラストのワンシーンまえのクライマックス。松田がすべてを滅茶苦茶にして去ってゆく。“食卓”の残骸を家族全員で黙々と片してゆく。おそらく、自分たちの“変”さにまだ気付いていないらしい点が、これも奇妙に可笑しいのです。
そしてラスト。平穏な風景なのに、外から聞こえるヘリコプターの爆音。「何かあったのかしら?」って母が言う。観ている側もどこか不安になる。ひょっとして一家の部屋以外、外の世界は崩壊してるのかもしれない、と・・・。
バブルに突入しそして崩壊を迎える直前の、1980年代前半の作品。当時はこんな感覚があったんだって、ある奇妙な印象を、けれども公開当時、強烈に印象づけた映画です。たぶん森田芳光監督の間違いなく、代表作。
・・・・2011.12月25日更新。去る12月20日に逝去された故森田芳光監督(訃報)。氏の登場は画期的でした。<『家族ゲーム』以前・以後の日本映画>という標語まで出現し、その才能はずば抜けていたと思います。私の観た範囲では、『刑法39条』や『失楽園』等々・・・。
でも氏の持つ独特の脱力感覚に私は惹かれます。出世作の『の・ようなもの』や『間宮兄弟』の“のほほん”感(??)は特に・・・・。
『家族ゲーム』での松田優作が醸し出す「異人」性が、とにかく見ものでした。
合掌。
番組詳細
- 放送日時:12月25日(日):午後10:00~11:50
- 放送チャンネル:NHK.BSプレミアム
- 番組名:森田芳光監督を偲んで:「家族ゲーム」(1983)
- 商品名: 家族ゲーム [DVD]
- 価格: ¥4,935
- 監督: 森田芳光
- 出演: 松田優作, 伊丹十三, 由紀さおり, 宮川一朗太,
- 販売元: パイオニアLDC
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- 2011/12/25更新
- 2010/09/20登録
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