ぽあんかれさいくる
ポアンカレ・サイクル
ボルツマンによれば、エントロピー増大とは、無数の分子・原子からなる物質系が、より「ありふれた状態(確率が高い状態)」に移行することをいう。それは「確率の問題」であるから、孤立系でのエントロピーの減少はおよそ現実的には起こり得ない(非常に確率が低い)。
だがその確率はゼロではない。
ツェルメロは、系の運動についてある種の条件が満たされた場合、その系は任意の初期条件に有限時間内に再帰するというポアンカレの定理に基づいて、ボルツマンが思考実験したような宇宙は、実質的にサイクリック(周期的)であり、エントロピーが一方的に増大することはあり得ず、任意のエントロピーの状態に、有限時間内に再帰する(もとに戻る)ことを証明した〔再帰性のパラドックス〕。
その周期:ポアンカレ・サイクルは、宇宙の実年齢のおよそ10の23乗倍である。
ただしポアンカレ・サイクルは「平均」周期であって、宇宙のある状態が再起してくるのは、それより遅れるかもしれないし、それより早まるかもしれない。ある状態よりも遅れて生起した状態が、今度はより早く再起することだってあり得る。
つまり宇宙のあらゆる瞬間は、それぞれが恐ろしくかすかな「確率」に薄められながらも、やはりいずれかの瞬間に再起するように、ほとんど久遠の時間の中にばらまかれているのだ。
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