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こくうものがたり/すずきおうじ

こくう物語/鈴木翁二

  • こくう物語/鈴木翁二の画像

何度も何度も書こうと思ったけど、そのたびに諦めてしまった。鈴木翁二の作品は、ひどく言葉にしにくい。大して思い入れのない事柄になら、スグに書けるのに。

言葉にできないとは言いたくない。翁二曰く唯一の方法論は「失敗家であること」。30年間ずーっと試みては失敗して描き続けた結果を前に、途端に僕の言葉は役にたたなくなってしまう。

たとえば初めて稲垣足穂を読んで、困惑してしまった時。でも、そうか、これ翁二に似てるな、と思った瞬間に、パチンとつながった。ような気がした。もしかして普通は逆なんだろうか...。

小説と比べて漫画はビジュアルな説明力がある、と思われているけれど、実はそうじゃないくて、すごく不自由。例えば、どうやったら「すきとおったほんたうのたべもの」なんて、描けるだろう。

翁二の線は不器用で太く、情けない。彼の世界では電車も「ゴメンヨーーーォォ」という音を残して走り去る。重たい足どりのような漫画だけれど、或る瞬間、宝石のように美しいものに変わる...。

スゴイ!スゴイ!そんな時は、翁二のモノローグも興奮したようになってこちらに伝わってくる。それが楽しみで僕はページを繰る。もしも読んで分からなくても、別の時にはスッと染み込んでしまうことがある。逆もまたある。僕はその都度、不思議だなぁ、嬉しいなぁ、と思う。まるで昔の漫画少年になれるんだ。

翁二がえがくのはノスタルジーにほど近い、けれど決して、郷愁にしてはならない場所。だから僕もどうしても文章にしておきたかった。蛇足だなんて、当たり前。何度でも、書き直そうと思う。


【略歴】
1949年愛知県生まれ。69年「庄助あたりで」でデビュー後、水木プロに約一年間勤める。あまり役に立たなかったらしい。
存在することの不安や恐怖、さびしさや不可思議さを静謐で幻想的な空気感のもとに描いた幾多の秀作を発表。
主著に「マッチ一本の話」「東京グッドバイ」北冬書房、「海のタッチ」ワイズ出版、「オートバイ少女」筑摩書房。最近のものに、連載のまま未刊であった「こくう物語」と初期作品集「海的煌煌」(共に青林工藝舎刊)がある。
あがた森魚の「日本少年」「永遠の遠国」のジャケットも鈴木翁二の手によるもの。あがたさんは「オートバイ少女」の映画を撮ったりもした。主演の石堂夏央さん、いま何してるんでしょう...。


翁二の作品リスト。
http://homepage1.nifty.com/hebon/fhp/...
現在連載のあるアックスHP。
http://www.softmagic.ne.jp/ax/
オンデマンド出版で「透明通信」が買えます。
http://www.comicpark.net/cm/comc/...

こくう物語/鈴木翁二

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digm画像 投稿者:
digm
詳細情報
  • 発売元: 青林工藝舎・刊
  • 年(代): 2002・03・25
  • 価格: 1500円+税
  • 解説・天沢退二郎
  • 帯文・細野晴臣
  • 2003/02/11更新
  • 2003/02/11登録
  • 3669クリック

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