ちゃーのふのかおぐらふ
チャーノフの顔グラフ
「顔」について、まったく微かな違いを人間は識別する。
これは「人間関係」の基礎にあたる事実であり、また「顔」を描くのがむずかしい理由でもある。
人間の、「顔」についての高い識別能力を利用して、多変量データを総合的に把握するための方法が「チャーノフの顔グラフ」である。
ある事項の様々なパラメータを、それぞれ「目」や「口」など顔のパーツの描き方に反映させる。目が大きくなったり、口が「への字」になったりほほえんだりする。眉の上がり下がりもデータによって変わる。
そうしてできあがった顔は各データの特徴を反映しているはずであり、表情の似たケースは実際のデータも似通った値を持つことを表すので、ケースの分類にも役立つ。
たとえば、ある出版社から出された「日蓮遺文」の研究書がある。「日蓮遺文」とは日蓮が書いたものだが、いろいろあってその真偽の判断は難しい。
この本は、学位をもらうために500部ほど刷られた研究書である。内容は、「日蓮遺文」の書体・文体を分析したもので、その情報を顔グラフで表示することで、どれが日蓮自身が書いたものであり、どれが日蓮以外の者が書いたものか、わかるというものである。
「日蓮以外」の手によるものでも、顔グラフが日蓮のグラフと似ていれば似ているほど、日蓮に近かった高弟によるものだと判断がつく(らしい)。
研究はまったく地味で真面目なものだが、その本は、素朴な線画の「顔」たちが、目を腫らしたり大口を開いたりしながら、ページ狭しと飛び回ってる(「チャーノフの顔グラフ」をご存じの方なら、そのアホらしさかげんが想像つくだろう)。その間を、日蓮および日蓮もどきの筆が埋めている。
なお、ホンモノの日蓮の書いたものなら、そのグラフはにっこりと笑っているのだそうだ。ニセモノは、たとえ笑っていても、どこかグラフの笑みが歪んでいるらしい……。
- 2003/02/11登録
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