ヤネウラニダレカイルンデスヨ。
屋根裏に誰かいるんですよ。
「屋根裏に誰かいるんですよ。
都市伝説の精神病理」
春日武彦(著)
精神を患った人々乃至は痴呆老人の口から度々語られる「屋根裏に誰かいるんですよ。」という類型的な妄想は、一体何に端を発しているのか。
精神科医である自ら接した患者の症例から、各種文献に記載された事例を引用しつつ、筆者は「都市伝説」として頻繁に語られる怪異潭に、同様なモチーフを見い出す。
すなわち、日常のすぐ傍らに、いきなり立ちあらわれる「非日常」への畏れと憧れ。
論考はB級恐怖映画・推理小説の検証を経て、つい最近までこの国の「家」の中に存在した尋常ならざる「非日常」である「座敷牢」のおぞましき実態を掘り起こす。
さらに、今この現在においても、密かにその内部に「非日常」を孕む「病んだ家」が確実に存在すること、それらがふいに日常社会に「事件」として溢れ出したとき(「餓死した親子」「鎖で繋がれた老母」等々。この本が書かれた後に発覚した、例の新潟の件も思い起こさずにはいられない)、我々が立脚する「日常」が揺り動かされる恐怖感と、その一方でその感覚にどうしようもなく惹かれてしまう我々の心。
「家」は他人から干渉されることのない「頭の中」を反映し、「屋根裏」の暗闇はすなわち「心の暗部」であるというアナロジーは、少々わかりやすすぎる気もするけれど。
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