ことばにし難い「存在」の魅力。そんな
ダイアン・アーバスの写真集
双生児の少女ふたりがこちらに向ける形容しがたい微笑み。鏡像のように見えて、じつは表情がちがうのです。同質性の部分ばかり強調されがちな「双子」という存在のなかの「差異」を突きつけられた思いがします。ダイアン・アーバス(Wikipedia)の写真にずっと牽き付けられている理由を言葉にしてみたくてのキーワード化です。
『Diane Arbus;An Aperture Monograph[ Special Edition]』(Paperback)。
牛腸茂雄が撮った、これも私が好きな双生児象と比べると、アーバスとのちがいが見えてきます。牛腸の「ふたり」が、親密で優しげだけれど、違和感の感覚をどこか湛えているのに対し、アーバスの「ふたり」には、生が持つ不可思議さの印象を強く感じます。
「写真よりもそこに写っているもののほうが素晴らしい」と、アーバスは言ったそうです。たしかに被写体がすべて。彼女が撮る対象のある種の畸形性がよく強調されます。彼女はたしかに異形のものに牽かれたかもしれません。でも、私にはそれがさほど重要なことだとは思えない。
アーバスの被写体の「素晴らしさ」とはむしろ、彼らの生きていることに対するよるべなさ、の感覚がそこに現前していること。たぶん、被写体の幸福でも不幸でもない「中立」的な日常のありさま、が写真を見る者に対して露呈してくることの素晴らしさ、でしょうか。
ブラジャーとガーターを身につけ、足を組んで椅子に座る、あきらかに“ソレ”っぽい青年にだって、それなりの日常があり、星条旗イラスト入りの「私は誇りに思う」ロゴ・バッジをつけたやや狂信的な眼差しをした「愛国青年」にだってもちろん、その心情とは無関係な日々の営みがある。もちろん、顔といわず全身刺青の男、スリーショットの巨人の息子と彼からみれば小人にしか見えない両親、異装趣味の男(女?)、両性具有の女(男?)、にだって・・・etc,etc
あらためてアーバスの写真の魅力をことばにする困難さが身に沁みます。でもいつもそれが見える場所に置き、ときおり眺めることを止めることはないでしょう。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/...
- 書名:Diane Arbus;An Aperture Monograph[ Special Edition] Paperback
- 価格: ¥3181 amazon価格
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2010/09/27
四月の旅人 anoanoさん、お久しぶりです。30歳を国書刊行会周辺の作品を愛読しながら迎え、牛腸茂雄の特集も編んだ「デジャ=ヴュ」は全巻納戸でほこりをかぶっているはずですが、美意識は成長することなく、いまだ “異形” にはうまく感情移入できません。
anoano 四月の旅人さん、こちらこそお久しゅうございます。「デジャ=ヴュ」の存在をいま、思い出しました。四月の旅人さんのおかげです(笑)。たしか、「中平卓馬」の特集を見たような、見なかったような(苦笑、、、。アーバスは私には一種の“怖いモン”見たさ、なのです。見るたびに抵抗感があって、でも見ざるを得ない・・・。未だ自分で自分のメンタリティが良くわからないのですよ、ほんとに。国書刊行会のゴシック関係やピンチョン。その何冊かは、たしか我が家の本棚の裏のほうにひっそりといまでも佇んでいるはずです。
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