『街場のメディア論』
街場のメディア論
光文社新書 474
内田 樹 著
出版社 光文社
777円(740円+税)
http://www.junkudo.co.jp/detail.jsp?...
■内容の紹介
メディアの不調は日本人の知性の不調と同期している 巷のテレビ、新聞、出版「危機」論は嘘ばかり 誰も語らないそのほんとうの原因を明らかにする
■ジュンク堂書店員のコメント
・大阪本店 人文新書 岡 ☆5つ
著者はマスメディア凋落の原因を、メディア自らの罪ー「定型」の語りに安住し、担い手一人ひとりが伝える言葉を失ってしまった事にあると喝破。メディアによるバッシング、その影響を受けた「クレイマー」による社会システムの劣化に警鐘を鳴らす。
その一方、紙の書籍の生き残る術について「書棚の効用」をヒントに、次の様な解を提示する。
それは〈「選書と配架にアイデンティティをかける人(読書人)」の絶対数を増やすこと〉と〈無償で本が読める環境を整備すること〉。
前者は書店員が棚前で毎日思い悩む命題。後者は本を読むキッカケを思うと至極当然であり、読み手を育む事こそが出版文化を守る事に繋がると云う指摘を、出版社や書き手・書店は忘れるべきではない。
訳のわからない未来を「勝ち残る」のではなく「生き延びる」為に、自分の言葉で語り伝える努力と発した言葉を自分で引き受ける事ができるかどうか。話題の軽重に関わらずその「覚悟」をもつことが今、「メディア」に関わる全ての人に問われている。
・難波店長 福嶋 ☆5
“人間の潜在能力は「他者からの懇請」によって効果的に開花するものであり、自己利益を追求するとうまく発動しない“と、就職活動を前にした学生たちに諭す。また、本の著者が対価を得る根拠は、読者がいつかその本を自分への「かけがえのない贈り物」と感じて発する「ありがとう」という言葉なのだ、と言う。”メディアが急速に力を失っている理由”は、“インターネットに取って代わられたから”ではなく、“固有名と、血の通った身体を持った個人の「どうしても言いたい事」ではなく、「誰でも言いそうな事」だけを語っている”ことにあり、“出版危機を出版外的な要因を以て説明して、それで出版界の人たちが納得している限り、出版危機は止まらない”と喝破する。そこには、「他者」こそが、倫理の根源であり、価値の源泉であるとする内田哲学が、一貫して流れている。
その哲学が、学生たちという他者への語りかけを、編集者という他者を介在させて編み上げた構成そのものに現れている本書を、掛け値なしに多くの人に読んで欲しいと思う。僭越ながら、多数の読者を代表して言わせて下さい。「内田さん、ありがとう!」
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