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元気が出る教育の話

 吉野源三郎『君たちはどう生きるか』(岩波文庫)のどこがすばらしいかといえば、そのタイトルにも関わらず、「どう生きるべきか」ではなく「(君たちが生きる世の中は)どうなってるか」しか書いてないとことである。(だからこれをもう一回やりたいと思った伊東光晴は戦後『君たちが生きる社会』(ちくま文庫)というそのまんまの本を書いた)。

 もう普通の本は思想統制で出せなくなっていた戦時中、その一方で「どう生きるべきか」の押し付けばかりが吹き荒れたその時代というのを勘定にいれると、その抵抗は「際立ってる」ということになるが、今読んでも「際立ってる」のだとしたらどういうことになるのか。

 森毅がどこかで、戦後(民主主義)というのは、前だったら軍隊の中に閉じ込められてたいろんなものが、軍隊がなくなった後に社会全体に希釈されて(薄められて)広がったことだ、と言っていた。近代国家ではいつも軍隊と学校は一対のものだった。だからこれは「学校的なもの」が社会全体に広がったということでもある。

 教育論といえばいまも「~すべきだ」ばっかりで、『君たちはどう生きるか』はだから今でも新鮮で際立ってる。けれど「こうなってる」だけでなく、「だったら、どんな手があるのか」という次の話だってある。「~すべきだ」は常にたった一つしか提示しないが(おまけにそれが「唯一」なのだと言い張るが)、「どんな手があるのか」はそんなのでは間に合わない。

 この対談は、森毅ならそれだけで1本エッセイを書いてるようなネタを何百か使った、生ネタとエピソードの応酬で、ますます学校化する社会(なんかそういうタイトルの本もまた出てるのだけど)に対して「だったら、どんな手があるのか」の膨大なカタログである。

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kurubushi
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  • 斉藤次郎
  • 森毅
  • 中公新書
  • 2003/02/19登録
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コメント (3)

2003/06/03

島崎丈太 本題の書籍でなくて恐縮ですが「君たちはどう生きるか」を書店で見かけ、kurubushiさんのこのkwを思い出して購入しました。 まだ1/3しか読んでいないのですが、とても良い本だと感じ、我慢出来なくなってここに書き込んでいます。 自分の子供たちにも一度は読んで貰いたいものだ、と切に思う、そんな作品ですね。

2003/06/05

kurubushi 岩波文庫ですか?>『君たちはどう生きるか』 丸山真男のあとがきが、またイカしてますね。

島崎丈太 はい、岩波文庫です。 今日、小5の長男が読みましたが、本当に分ったのやらどうなのやら? じっくり味わって読んで貰いたかったんですけど、たった一日で読み飛ばしてしまいました。

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