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自家焙煎珈琲 上野の珈琲店 

芸術の街、上野駅から岩倉高校沿い、JRガードを入谷方面に10分ほど歩いたところに蔦のからまる趣のある珈琲専門店がある。

珈琲店は数多くあれど、ここまで真摯に珈琲に取り組む店は殆どみたことはない。ただし、ヨーロッパの多くのカフェのように新聞読むだけで半日過ごす・・という寛容な使い方は出来ない・・・。ゆっくりと時間を過ごしたいというときには全く不向きな店である。

カウンター4、5席、テーブル2つの小さな店内。ご家族だけで営業されている。

抽出はネル。とても丁寧に仕事がされる。時間をかければ良いものではないが、必要な時間はきっちりかける。
アイスなども注文してからネルで抽出する1杯立て。氷は勿論、氷屋さんの氷をベースにした透明なぶっかき氷だ。コーヒーシュガーもオリジナル。クリームも濃厚なとても良質なもの。アイスの場合は、添えられるミルクもシュガーも氷で冷やされたまま供される。珈琲とよく一体化するようにするためだ。

しっかりと丁寧に抽出された珈琲、濃厚なミルクが醸すハーモニーは絶品である。よく珈琲はブラックで・・という方がいるが(私も普段はブラックしか飲まないが。)、ここの珈琲はせめて最後の半分はミルクを適量入れて絶妙なハーモニーを楽しまれることをお勧めしたい。

豆自体も半端ではない。よくオールドビーンズと称して高値で出している店もあるが、そういうのはせいぜいエイジング(熟成)2~3年くらいのものが多い。この店では3年というのは一番若い豆で通常、一番リーズナブルなブレンド用にしか使用されない。普通に5年、10年、中には15年以上エイジングさせた豆もあり、大変なリスクを負ってご商売されている。

豆の産地も、例えばコロンビアであればメデリンエクストラ、ブルーマウンテンであればウオーレンフォードNo.1など単一産地の純正豆しか使わない。通常は何百キロと買ってオマケでつけてくれるような豆だ。国だけでなく、その国のどこで獲れたのか、生産者は?というところまで神経が行き渡っている。魚沼産コシヒカリで生産者は○○さんで・・と指定するのに似ているような気がする。同じ国のものでも収穫された地域、高度、生産者、年で品質は千差万別だ。よく考えればコーヒー豆も農作物なので当然といえば当然だが。

いつだったか奮発してモカマタリ カッファNo.9を飲んでみたが、素晴しいの一語だった。よくモカは酸味云々言われるが、そういうことは全くなく、ただただ絹のようななめらかな舌触りが印象に残っている。余談だが、モカマタリ カッファNo.9などはきちんとハンドピックすると半分は捨てなくてはならないそうである。つまり使うことができる量が少なく、値段は高くなる。

だから通常の店では混じりっけなしのモカは使えず、モカブレンドになってしまうのである。

価格は正直で誠実な値つけがされており、10円単位で銘柄、エイジング年数などにより設定されているようだ。だから、単一種(ストレート)でエイジングが進んだ豆のみを使用したものは絶対価格が高くなる。例えば○○ブレンド500円、ブルーマウンテンウオーレンフォードNO.1 10年熟成2000円といった風に・・。珈琲一杯に2000円!と思われる方も多いと思うが、以上の理由から適正な価格設定だと思うのである。(勿論実際注文できるかどうかは別問題。)価格、メニュー名は参考例です。実際にはメニューごとに480円とか実に細かい価格設定がされています。ですので、同一価格というのは殆どないと思います。

もし、小腹がすいているようなら、トーストを食することをお勧めする。最高のパン、最高のバターでサックリと焼かれたトーストが熱いうちに、添えられた自家製シナモンシュガーをかけて召し上がれ。シュガーがバターと溶け合い、「こんなトーストがあったんだ」ときっと思われるに違いない。珈琲専門店にトーストなど・・と思われる硬派な珈琲ファンの方もきっとご納得されると思う。

もう一つ裏技を・・。もし生クリームがお好きな方は珈琲を注文の際にホイップクリームを別盛りで・・と頼んでみてください。マティーニグラスにたっぷり盛ってくれる。これを甘味代わりに珈琲を飲むのもまたオツである。(品質の良い生クリームをホイップしているため、かなりしっかりした濃いクリームなので、ご注意ください。)

この店の味の組み立てのキーワードはワインにたとえればフルボディだ。珈琲は勿論、ミルク、シュガー、生クリーム、トースト、バター等々すべての味わいがフルボディでバランスされているのだ。逆ににどれかが弱い味になってしまうと途端にバランスを崩す危うさを併せ持つ。

*携帯、待ち合わせ、珈琲以外の目的の長居厳禁。これは高飛車なわけではなく、珈琲を純粋に楽しみにしたいお客さんに来ていただきたいという店主も思いからである。他に星の数ほど珈琲屋さんはあるのだから、「気持ちをある程度共有できる人にだけ」来て欲しいと割り切ってご商売をされている。

だから意識的にわざと、店の入り口にモノモノしい威嚇するような貼り紙がしてあるのです。「ウチの営業方針はこのようになっています。それでも来ていただけますか?」と。

店主の考えはただひたすら「おいしい珈琲を飲んでもらいたい・・」という一点にのみ集約されていて、その考えさえ理解できれば、これらの店の振る舞いは逐一合点がいくものばかりなのである。

確かに「緊張して楽しめない。」、「雰囲気も味のうち」という方も多いと思う。しかし、本物の味を楽しむためには例えば一流のレストランでも食べ手の訓練がある程度は必要なのと同じで、この店でも「気持ちの共有」と少しばかりの「慣れ」が必要かもしれない。

たかが喫茶店、されど喫茶店。「人の口に入るものなんだから、決していい加減なものは出せない。」と15年以上前に店主から聞いた言葉が思い出される。

そんな店ですから、どうか「おいしい珈琲を飲んでみたい!」と思うときだけ訪れてあげてください。どうかご理解のうえ、お願い申しあげます。

*飲み物は珈琲しかありません。小さいお子様を連れての入店は出来ません。誠に恐縮ですがあらかじめご理解、ご了承をいただきたいと存じます。

*文中にも書きましたが、かなりしっかりとした、濃い珈琲です。 お好みで薄めに(これでも薄くありません。)も淹れてくれます ので、ご参考にされてください。

自家焙煎珈琲 上野の珈琲店 

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  • 営業時間: 休 不定期 
  • 2003/05/01更新
  • 2003/03/06登録
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