アカルイミライ
黒澤清監督『アカルイミライ』アップリンク(2003)
主人公とその友人たちが持つ「わからなさ」と、社会(彼らとの世代間)の邂逅が主題にある。主人公の友人(工場での上司を殺し、のちに刑務所で自殺する)の父親は、息子の死を境に「いったい息子はどういう人間だったのか」を求め主人公に近づいていく。彼らの間に安易な和解を果たすことはできない、という作者の意図だとは思うが、肝心な両者の邂逅の軌跡は丁寧に描かれていない。代わりに、主人公が友人から受け継いだクラゲが、父親と主人公のコミュニケーションを満たすという構図になっている。
見終わって、監督はあまりこの手の作品には向いていないのかもしれないという印象を受けた。サイコホラー作家として評価の高い彼は、部分的な感情の起伏と全体の感情操作、事件が起きて解決へと導く一方向的な時間の重ね方は上手いのかもしれない。しかし曖昧な問題になればなるほど、その決着点への時間の流れと着地方法が緩慢になる。光と音で織りなされる映画というメディアにおいて、心理的な問題の答えが曖昧になるのは常である。しかし、作品(最初に立てた問題)の深みを、語らないことで語ろうとする、もしくはあいまいなメタファーを持ってくることで描くという、抜け道的な手法にはがっかりさせられる。ラストシーンのゲバラTシャツを着た若者が歩くシーンにはもっと呆れてしまう。
- 2003/04/07更新
- 2003/03/19登録
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