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藤原定家

  • 藤原定家の画像

春の夜の夢の浮橋とだえして峰に別るる横雲の空
                        藤原定家

■『新古今和歌集』/日本古典文学全集/小学館


JRにて愛媛へ、車中ぼんやりと塚本邦雄の「夢の浮橋」の歌のことを考えていたのだが、大切な歌との関わりをすっかり忘れていたのに気が付き、独りあせってしまった。ここで定家の歌を抜いては、読みは半分にも満たなくなってしまう

不惑、耳順、他人事として過ごしけり「夢の浮橋」渡りたれども   邦雄

「不惑、耳順、他人事として過ごしけり」の後ろには、今年81歳を迎える彼にとっては、80歳で亡くなった定家、90歳まで生きた藤原俊成への思いや寂しさがひとしお身にしみるのではあるまいか

「夢の浮橋」がたよりない愛恋や命の象徴であるばかりに、「別るる」寂しさが思いやられる

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■2003.04.05

           藤原定家

春のよの夢のうきはしとだえしてみねにわかるゝよこ雲のそら
おほぞらはむめのにほひにかすみつゝくもりもはてぬ春のよの月
むめの花にほひをうつす袖のうへにのきもる月のかげぞあらそふ
しもまよふそらにしほれしかりがねのかへるつばさに春雨ぞふる
しらくもの春はかさねてたつた山をぐらのみねに花にほふらし
さくら色の庭のはる風あともなしとはゞぞ人の雪とだにみん
たまぼこのみちゆき人のことつてもたえてほどふるさみだれの空
さみだれの月はつれなきみ山よりひとりもいづるほとゝぎすかな
ゆふぐれはいづれの雲のなごりとてはなたち花に風のふくらん
ひさかたの中なる河のうかひ舟いかにちぎりてやみをまつらん
見わたせば花も紅葉もなかりけり浦のとまやの秋のゆふぐれ
ひとりぬる山どりのおのしだりおにしもをきまよふとこの月かげ
なびかじなあまのもしほびたきそめてけぶりはそらにくゆりわぶとも
たのめをかんたゞさばかりを契にてうきよの中の夢になしてよ
しろたへの袖のわかれにつゆおちて身にしむいろの秋風ぞふく
春をへてみゆきになるゝ花のかげふりゆく身をもあはれとや思
契ありてけふみやがはのゆふかづらながきよまでもかけてたのまん

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■2003.09.19
秋風の曾曾木の海に背を向けてわれは青天よりの落武者
                   塚本邦雄

一首の鑑賞には、地理と歴史、古典の知識も必要とさる。
能登半島の曽々木(そそき)海岸、平安末期、壇ノ浦の戦いに敗れ
配流された平時忠とその一門、平家の赤旗に白く染め抜かれた揚羽紋、
そしてあの新古今集編者藤原定家の日記『名月記』に記された
「紅旗征戎非吾事(こうきせいじゅうわがことにあらず)」までもが蘇る。
しかし、「われは青天よりの落武者」こそが塚本邦雄の矜持であり、
現実世界よりも夢を喰らう作者の栄光に他ならない。
塚本邦雄を現代の藤原定家と呼んだ評論家もいた。

藤原定家

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ikm.
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  • 人名: 藤原定家
  • 塚本邦雄
  • 2003/09/19更新
  • 2003/03/21登録
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