ゲンダイミンワコウ
現代民話考
超自然現象の実在については深い疑いを抱いて
いるが、怪談、怪異譚、不思議譚の類いにはとても
興味があり、文学、映画、演劇でもそのジャンルの
ものには目が無い。同時に「笑える話」への志向も
強く、そういう人間にとって、多数の聞き書きに
よって満たされた「現代民話考」シリーズは当然の
ことながらかつての愛読書であった。が、購入した
のは「ラジオ・テレビ局の笑いと怪談」のみで、
あとは図書館から借り出して読んでいた。(全巻購入
しなかったのは、経済状態がそれを許さなかったと
いうだけのことだが)
民話、説話文学、いわゆる都市伝説に関わる資料書
としても貴重な文献なのであろうが、私のような
無責任な読み手が読んでもぞくぞくするほど面白い
この労作がこのたび全巻文庫化されて(新たに収録
された聞き書きもあるとのこと)、逐次刊行される
という知らせは、この憂鬱な春には珍しい朗報で
あった。またあの夢中になって読み耽る時間が戻って
くると思うと嬉しい。
松谷みよ子さん、素晴しい本を書いてくださって
ありがとうございます。
2003年4月11日刊行開始。毎月巻数順に刊行。
1 河童・天狗・神かくし
公害を告げにきた河童や、酒を買う天狗の話。神かくし
に会うたくさんの子供たち。
2 軍隊 「徴兵検査 新兵のころ」
徴兵検査にまつわる話。リンチやしごき。餓死。歩哨と
鬼気迫る話の数々。
3 偽汽車 「船 自動車の笑いと怪談」
汽車に化ける狸や狐。幽霊船。タクシーに乗る死者。
乗り物にまつわる怪奇。
4 夢の知らせ 「火の玉 ぬけ出した魂」
夢による死のサイン。死ぬ前に出歩く魂や、火の玉の
話。
5 死の知らせ 「あの世へ行った話」
死んだ自分を見た人の話。あの世からのことづての
数々。転生譚。
6 銃後 「思想弾圧 空襲 沖縄戦」
思想弾圧、空襲、原爆、沖縄戦、引揚げ--忘れ得ぬ体験
の証言集。
7 学校 「笑いと怪談 学童疎開」
体育館やプール、便所の怪談。子供たちの銃後、学童
疎開や学徒動員の証言。
8 ラジオ・テレビ局の笑いと怪談
「放送ことはじめ」にまつわる話や、抱腹絶倒の番組
裏話、怪談集。
9 木霊 蛇 「木の精霊 戦争と木」
伐られるまぎわに震える木、木の精霊の凄まじい怒り。
10 狼・山犬 猫
狼・山犬と猫にまつわる奇怪と恐怖と笑い。送り狼、
狼神、猫の聟、猫の会議。
11 狸 むじな
狸やむじなの腹づつみ、狸の音まねや、いたずら。狸の
人助け。戦争にいった狸。
12 写真の怪 文明開化
死んだ子や見知らぬ人が写る。写真や文明開化に
まつわる嘘のような本当の話。
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