「おにいちゃん」と「すべての妹たちへ」
「人並みの幸せを追い求めるのはやめようね」(澁澤龍彦)
「おにいちゃん」は、詩人であり評論家・翻訳家・作家である矢川澄子が、かつての伴侶・澁澤龍彦と過ごした十年間の思い出をえがいたエッセイ集です。澁澤の母・妹二人と同居した矢川澄子は、他の家族にならって澁澤を「おにいちゃん」と呼んでいたそうです。
この二人については、今さら私が言及する事もないほど語られてきたように思います。
二人の結婚生活で人間の子供は生まれなかった(闇に葬られた)けれど、たくさんの本が生まれたのです。二人が由比が浜で向き合ってコイコイに興じる写真は、長い間私の定期入れに挟まれていました。二人の子供である著書と、この写真があれば私には十分です。
2002年5月29日に長野県の自宅で自死をとげた矢川澄子。その遺書には「すべての妹たちへ」とゆうタイトルが付けられていたそうです。遺族の意向により非公開になっているこの手紙を読んでみたい、と強く思います。
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