からっぽ男の休暇
いとうせいこうの小説。講談社文庫(絶版かも?)
子供の頃に読み聞かされた童話や昔話のディテールをきちんと覚えている人はどれくらいいるだろう。一寸法師、ヘンゼルとグレーテル、幸福な王子、鶴の恩返し…。
この小説は、仕事に追われる日々に疲れた一人の男が南の島で無期限のバカンスをとる。単純にのんびりとした日々を楽しむはずが、なぜか男はことあるごとに昔話を思い出そうと四苦八苦するのだ。
男がその記憶を探る作業の中で、それぞれの話のストーリーは混乱し、イメージは本来の話から逸脱して膨らみ、全く違った物語へと変化していく。けれども、最終的に男が思い出しながら(結果的に)創作した物語は、なぜか本物よりもリアルなのだ。その「ずれていく」感覚がとてもエキサイティング。
いとうせいこうの小説は、この他に『難解な絵本』『波の上の甲虫』がオススメです。






