キダム シルク・ド・ソレイユ
キダム (シルク・ド・ソレイユ)
私はフジテレビの社員ではありません@P
■前口上
たまにはこういうのもいいか、
ブロードバンドコンテンツだし・・・
ということで、某MLで流したところ、
「 そーかーぁ。
フジテレビの企画というだけで毛嫌いしてましたが。
ん!GWで終わり。。。夏に大阪で観るか。」
という評が帰ってきましたので、
【毛嫌いしていたあなた】のために贈ります。
シルク・ド・ソレイユ 「キダム」の物語です。
「キダム」と「カーコンビニ倶楽部」は、
何でつながっているのでしょうか?
「○ン○ン」つながり。(答えは文中にあり)
これが分かった人は、読まなくていいです。
ここまでの物語は、ネット上にはないと思います。
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■この世で見ておいたほうが良い2つのもの
3年ほど前であろうか、とある建築家(ドイツ人と日本人のハーフ)が、この世で見ておいた方が良いものが2つある、と言った。
「1つは、O(オー)だ。ラスベガスのホテル・ベラッジオで常設上演されている。もう1つがキダム(Quidam)だ。オーは、水の設備が大掛かりで移動できないが、キダムは、いろんなところで上演されるだろう。」
この二つの演目が、同一人物の企画によるものであることを知るのは少し後のこととなった。
■キダムと木下サーカス
シルク・ド・ソレイユというのが、その上演主体である。なにやら、カッコイイが、シルク(cirque)というのは、フランス語のサーカスである。ソレイユ(soleil)は太陽で、ま、サーカス団の名前だ。木下も、太陽も良くある名前だろうから、木下サーカスと、太陽サーカス、似たようなもん、かも知れない。
キダムは、名もなき通りすがりの人、放浪者というような意味らしい。確かに、顔のない大男が傘をさしてキダムには登場する(傘をさすことで、ない顔、のリアリティは激増する)。キダム、まあ、名も知れぬ放浪者とでも言ったところで、日本でもドリフターズというのがいた。要は、シルク・ド・ソレイユのキダムは、木下サーカスとドリフを混ぜたようなものである。フランス語は、ずいぶんカッコイイ。
■キダムとは何か?大道芸の外人部隊。
キダムにストーリーはあるといえばあるが、どうでも良い。実際、ストーリは、3人のピエロのドタバタにかき消される。キダムは、発祥は【ストリートパフォーマンス】つまりは、大道芸である。事実シルク・ド・ソレイユの主宰ギー・ラレバテは、本人も竹馬曲芸、火吹きなどをやっていたらしい。キダムは、いわば大道芸、ストリートパフォーマンスの極道である。
ギー・ラレバテは、カナダ人で、本部もケベック州モントリオールにある。しかし、アーティスト(大道芸のパフォーマーをこう呼ぶ)にカナダ人は、ほぼ皆無である。全世界500名を超えるストリートパフォーマーをネットワークし、その中から最高のものを目利きし、モジュール化し、リミックスして、タイトルをつけて演目を構成してゆく。
事実キダムで目玉となる
・ディアブロ(こま回し)は中国人の少女のチームだし、
・スキッピングロープ(縄跳び)はイタリア人チーム、
最後のおおとり、
・バンキン(人間飛翔)はロシア人チームだ。
ピエロの3人組も、スペイン人とフランス人2人のトリオだ。カナダ人は、アーティスト(パフォーマー)には一人も居ない。バックバンドに2人入っているだけだ。
キダムは、【ストリートパフォーマンスの外人部隊】なのである。
■キダムの評価
いまや、世界中で450万人!を動員したキダムはアートとして、広く世界に認められている。本来大道芸であったそれは、極めることによって全く違うフェーズを生み出した。それぞれのパフォーマーは、一貫してアーティストと呼ばれ、世界各地の芸術賞を総なめにしている。ジャグリングや、スキッピングロープはその起源は2000年以上遡るという。実際、全ての演目は、高度にプロのワザとして極められ、洗練され、どれも、人間の身体性の極限の域に到達しており、息を呑むものばかりである。
こま回し、縄跳び、お手玉、これらが、極められると、ここまで行くのか。唖然とする。最後の「バンキン」は、究極の組み立て体操というべきものである。道具を一切何も使わない。人間が床となったとき何が起こるか。その発想の逆転劇は、重力の存在を忘れさせる。これは、究極の身体芸、アクロバット、アートと言ってよいだろう。キダムの最後を飾るこのバンキンは、間違いなく世界一の、パフォーマンスであると言ってよいだろう。「バンキン」(Banquine)は、シルク・ド・ソレイユの前作、「サルティンバンコ」と同様、「大道芸」を意味する。
■スポンサーシップと興行収入
キダム日本公演は、フジテレビの開局45周年記念事業として行われた。特別協賛(メインスポンサー)、どこだと思いますか?ソニー?No!トヨタ?No!三菱地所?まさか!NTTデータ?No!ヒサヤ大黒堂?おしい!
答えは、カーコンビニエンス倶楽部(コンビニのような手軽さで、車のバンキン(板金)をしてくれる)フランチャイズチェーン。全国3000店を超えているという。キダムとカーコンビニエンス倶楽部は「バンキンつながり」【これが答えだ!】なのである。
キダム日本公演は、東京90日、大阪、名古屋30日の計150日。会場は3000人席で、2回講演。一人平均1万円の売り上げで(除く関連グッズなど)実払い客占有率80%で計算してざっと120億円。けっこう荒稼ぎである。ちなみに、東京公演は、5月連休明けまで続くが、チケットは完売である。
■総評
キダムを見ると、特別の感情が湧きあがるのを感じるだろう。なぜなら、目の前で繰り広げられているものが、誰もが持っている原体験の延長線上にあるからだ。誰でも縄跳びをしたことがあるだろう。こまを回したことも、組み立て体操だって、お手玉だってやったことがある。しかし、極めるとここまでいくのだ。自分の原体験と、目前のリアルが連続性を持って接続されたとき、覚醒する何かを感じる。目の前のリアルが、まさに、身体を駆使したリアルなのに、そこに存在しているのに、想像を絶しているからだ。確かに、目の前にある、しかし、思い浮かべることが出来なかった。
自分の想像力の貧困を思い知ることで、新たな可能性に気がつかされ、その未知の存在を確信するのである。キダムの感動は、DNAにクる、血肉湧き踊る感動である。
■パフォーマの言葉から
3次元の芸術と呼ばれる、キダムのいくつかのパフォーマンスは、地上10メートル以上の場所で行われる。どの1つにも、ネットも、命綱もない。そのことをあたりまえのように、来る日も、来る日も、2ステージ、やっている。彼らにとって、これは非日常的日常なのだろうか。
「私の人生の一部を、
このパフォーマンスで表現したい。
内なる秘めた想いを伝える手だては、
私にとっては言葉ではなく、
このアクトだけなのです。」
地上10メートルの高さから垂れ下がる、
深紅の布2枚を身体に絡ませた女性が官能的に漂う
「エアリアルコントーション」のパフォーマ、
イザヴェル・ヴォデルの言葉である。
「身体」、最もプリミティブで最も豊かなメディア。
ケータイだ、PDAだ、ADSLだ、ブロードバンドだ、と
日々、電子メディアにまみれている、
私達が思い出さなければならないひとつの真実である。
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