incubus / Make Yourself
果たして俺は 目指す場所にたどり着けるのだろうか?
”Nowhere Fast"(#02)
自問自答しながらも前に進みつづけるバンド-インキュバス。彼等は結成と同時に音楽を作るだけでなく、自分たちでライヴのブッキングをし、フライヤーやダイレクト・メールを自らの手で送ることで、毎回300枚ものチケットを売りさばき続けた。ファンを増やしつづける地道な活動から、その名はロサンゼルスで知られたものとなり、やがてプライマスや311のオープニングアクトに起用されるまでに成長を遂げることになる。
インキュバスの結成は91年、当時彼らはまだ全員が高校生だった。メンバーは、ロサンゼルスのマリブの同じ小学校に通っていたヴォーカリスト兼ジャンベ・ディジュリドゥなどもこなすブランドン、ドラムのホセ、中学で知り合ったギターのマイク、さらに高校で出会った当時ジャズ・バンドに在籍していたベースのアレックスの4人。彼らはスライ&ザ・ファミリー・ストーンズやジェイムス・ブラウンなどの黒人音楽に影響を受け、ファンクやR&B要素の強い音を目指し活動を開始したが、次第にレッド・ホット・チリ・ペッパーズやフェイス・ノー・モアなどミクスチャー要素の強いバンドへのリスペクトが高まり方向性を変えることになる。
その後、前述したような人気を得た95年にはニューメンバーDJキルモアが加入。そこでサウンドは何かが狂ったかのように座標軸を変え、ヒップホップ要素にファンクとロックが正面衝突したような複雑怪奇な音へ変貌を遂げた。そして、インディから出したアルバム『ファンガス・アマンガス』は音楽業界を揺るがし、翌年にはエピック傘下のイモータとの契約を獲得しEP『エンジョイ・インキュバス』を発表。ファンキーでありながらグルーブが不安定なままロックを行う!というこれまた変幻されたサウンドは、97年のメジャーデビューアルバム『S.C.I.E.N.C.E.』でより個性に磨きをかけていた。そのころには当時最大のミクスチャー・バンドの地位に登りつめたKORNのオープニング・アクトに抜擢。KORNの『ライフ・イズ・ピーチ-』の限定CDにはボーナスCDで彼らの曲が収められるまでになった。さらに、シュガー・レイやソウルフライ、リンプ・ビズキットなどとのジョイントツアー、98年にはKORN主催のファミリー・ヴァリュー・ツアーにも参加し、はじめて見るこの特異なバンドに驚いた大観衆は、瞬く間に彼らのファンとなった。そして、サード・アルバム『メイク・ユアセルフ』をリリースするころには、彼らは前作からは想像もできなかったほどの認知と注目を浴びるまでになっていたのだ。
彼らが確実にその歩みを遂げてこれたのは、あらゆる音楽を収受しつづけ、個性を伸ばしつづけたからなのだろう。この『メイク・ユアセルフ』にはかつての不安定なファンク・グルーブは一切なくなり、ヴォーカル・アンサンブルの妙が聴けるほどメロディアスでシンプルなロックが構築されている。今まで蓄積してきたプレイを如何に表現するか、単に荒削りでぐいぐいリスナーを引っ張りこむことから思わず引き込まれていくような印象を与えさせるサウンドへ変貌させるか、緻密な計算がなされたのは間違いないし、目論見はきちんとなしえている。"Nowhere Fast"(#02)に代表されるじわじわ引き込まれる圧倒感は、”Pardon Me"(#12)や"Drive"(#08)のシングル曲にも随所に現れており、結果ビルボードシングルチャート9位にまで登りつめ、アルバムもミリオンセラ-を記録する結果をたたき出したのだ。
そして最新作『モーニング・ビュー』は怖れを感じず、さらに何かを目指そうと動くインキュバスの姿をそのまま曝け出した、これまでとはまた違った爽やかな趣きのアルバムに仕上がっていた。そして、その結果ヨーロッパやアジアでも彼らは知られるようになり、ライヴ活動はここ日本にまでその範囲を広げた。そんな彼らの目指す場所はいったいどこなのか?その答えとも思える歌詞の一節が”Nowhere Fast"(#02)にあるのでご紹介しよう。
過去を踏まえて進歩したような
そんな気がする時もあれば
何もわかっていない気がするときもある
そう、どこにいきつくでもないようだけど
スピードだけは闇雲に
この歌詞に、僕は深く共感した。彼らの恐るべき変貌はきちんと彼らが意図したものなのだ。歩みを止めることなく、むしろ走ってでも闇雲に進む、そう、インキュバスはそんなバンドに他ならないのだろう。そのスピードでもっともっとリスナーをメタメタにして欲しいと僕は切に願う。
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コメント (2)
2003/04/27
yoshibei2002 特に好きなのはアルバム名と同じくMake Yourself。昔からよく聴いています。DVDで収録で様子を見ましたが、前奏のヴォーカルはギターの弦をマイクにして歌っていたので驚きました。西海岸らしくギターサウンドが好きです。
2003/04/28
less クリップやライヴを見ると実に様々なアイデアで作られていることが分かりますよね。アレックスが確か脱退したらしくて、ちょっとびっくりしましたが、ニューアルバムのレコーディングにも無事入ったとのことなので期待しています
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