はらぺこあおむし
こどもの頃、泣きそうになると、これを読んだ。
大きくなるあおむしを見ていると、
自分が大きくなっていくことが
ほんのすこし、信じられるようだった。
ちいさなあおむしが大きくなるのは、
傍目にもうれしくて、
そして、なによりも、さみしくなかった。
わたしは、今、大人になって。
ひさしく手にしなかったこの絵本を読み返してみた。
あおむしを見てると、わたしはさみしくない。
懐かしさじゃなく。
あの頃の自分が、まだここにいることを。
この絵本は教えてくれる。
いつか。
わたしに子供が生まれたら。
この絵本を読んで聞かそう。
この物語を目にし、耳にし。
大きくなっていくだろう子供の姿を、
このあおむしに重ねよう。
ちっぽけでも、頼りなくても。
はらぺこでも、おなかが痛くなっても。
どんなことも過ぎ去れば、すべてが糧。
さなぎを経て、翅を広げる。
これから飛び立つ人へ。
すでに飛び立った人へ。
そして。
まだまだちっぽけなあおむしさんへ。
やさしい、やさしい、物語。
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