春が待ち遠しくなる物語
長い冬―ローラ物語〈1〉 (岩波少年文庫)
30年ほど前のTVドラマ「大草原の小さな家」でおなじみ、アメリカ西部開拓時代を生きたインガルス一家。
これは、7ヶ月もの間続いた、厳しい冬の話。
手に取った本の厚みが、すでにそれを物語っているような気がした。
ほんの一時やんだかと思えば、たちまち真っ黒な雲が激しい風雪を連れてくる。
何日も続く、壊れたバイオリンをかき鳴らすような吹雪の音。
向かいの家すら見えず、外出もままならない。
雪でふさがれて何も見えない窓。
短い晴れ間に洗濯物を干せば、凍ってカチカチに。
暖房はキッチンにある、料理用のストーブのみ。
そのストーブを囲んで毛布にくるまって、全員がかろうじて暖をとる日中。
手作りランプが細々と点る、少し暗い食卓。
少ない食料でもなんとか工面して、食事で家族を励まそうとする母さん。
寒さで手が真っ赤に腫れ上がり、バイオリンも弾けなくなってしまうが、歌を絶やさない父さん。
困難な環境でも望みを捨てずに、節制と工夫を凝らして乗り切ろうと頑張るインガルス一家。
どうにかクリスマスも過ごすことができて、大丈夫かな・・・と読み進めていたのだが、この後が辛かった。
鉄道が止まり、安定した燃料と食料の供給が途絶えた、まだ新しい町。小麦粉も石炭もなくなった。
家にあるもの・・ワイルダー兄弟からもらった種小麦と、夏の間に父さんとローラで作った大量の干草。
しかし種小麦を挽く石臼はなく、あるのはコーヒー用の小さなミルだけ。
1度に挽ける量はほんのわずか・・・時間をかけて、ひたすらミルを動かすのが妹キャリーの仕事。
干草も、そのままではあっという間に燃え尽きてしまう。
ストーブの燃料にするためには、力をこめて干草を束ねて棒状によらなければならない。
父さんの負担を軽くするため、ローラと姉メアリが交代で作ることに。
寒く暗い家で、最低限の家事をするためだけに起きて、眠って。
単調な毎日に、もうろうとしていくローラ。痩せ細ってしまったキャリー。
終盤、ついにローラが吹雪の中に春の兆しを感じ取る描写には、心からホッとした。
そして、すっかり春を迎えた5月、遅れて届いたクリスマスのたる。
七面鳥とクランベリーの赤い色が、とても印象に残った。
【訂正】
1.文中のワイルダー兄弟が、兄妹となっていましたので訂正しました。アルマンゾが女の子になるところでした。
2.冒頭の3つの文章に【物語】という単語が3つも入っていましたので修正しました。すみません・・・。
- 商品名: 長い冬―ローラ物語〈1〉 (岩波少年文庫)
- 価格: ¥840
- 著者: ローラ・インガルス・ワイルダー
- 出版社: 岩波書店
- 発売日: 2000-06-16
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コメント (1)
2011/01/16
holiday タツミさん@感想が偏りすぎて触れられなかったのですが、作中では父さんと町の人たちとのかかわりもたくさん描かれています。男性たちはライフラインである鉄道を何とか通そうと、トロッコで出かけて線路の雪かきをしたり、食料難を解決するため狩りに出たり、小麦を手に入れるため命がけの旅に出たり、手に入れた小麦を高値で売ろうとする店の主人と、きちんと話し合ったり・・・。小さくは家庭単位で、大きくは社会で。人とのつながりと工夫があって、彼らは生き延びたのだろうと思います。今の時代にも変わらず重要ですね。
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