TYPE O NEGATIVE / Bloody Kisses
-艶かしさをこのアルバムに!めくるめく官能のタブーな世界をゴシック・メタルに込めて-
タイプ・オー・ネガティブ(以下:TON)が打ち立てた独特の世界観は10年経った今こそ日本で正当に評価を受ける時が来たと思う。とはいってもアメリカではゴールド・ディスクを獲得し、ゴシック・ハード・コアの先駆者としてその後のミュージックシーンに多大な影響を与えはしたのだが。今回ご紹介するアルバムはTONのセカンド・アルバムで、彼等自身の音楽性の基礎が育まれた時期でもある。日本ではとかく触れられなかったこういったバンドが、マリリン・マンソンの認知と共に再び脚光を浴びているのは嬉しい限りだ。そして、そのブームの根底にある世界への嘆きを感じ取れるまでリスナーとして成長していた自分は歳を重ねたのだなあと時の流れを意識した。
TONは89年後半にニューヨークのブルックリンで結成された。中心人物ピーター・スティール(Vo&B)は、NYHC(ニューヨーク・ハードコア)のバンドCarnivoreで『Retaliation』などカルト人気を博したアルバムを発表していたが、バンドを88年初頭に解散。音楽界から身を引こうと就職をしたという。だが、音楽に対して並々ならぬ創作意欲が彼を支配し、気が付けば昔からのブルックリンの友達を集めてTON結成に到っていた。そのバンドは当初Subzero、その後Repulsionと名乗ったらしいが、同名バンドがいたため(アメリカは特にこういったバッティングが多く、改名をしたりする)TONの名前に落ち着いた。その後、デビュー作『スロー、ディープ&ハード』をすんなり契約したロードランナーからリリースしたが、内容のまんまディープさから左翼的なドイツ人から猛反発を受けたりもし、デビューからかれらはゴシップの的となった。しかし、このタブーに触れるギリギリの線がマニアの心にひっかかり、欧米でのヒットの礎となったのだ。
『ブラッディ・キッシズ』の音の組み立てはヨーロッパ・ゴシックより淡白よりであるにもかかわらず、幻想さを引き立たせていることにその特徴がある。デジタル的な要素がそこかしこに感じられ、中期パラダイス・ロストやフィア・ファクトリーと似通った爽快なリズムがざっくりと入っている。あえぎ声や赤ん坊の泣き声のサンプリング、歌詞に「神」を祭り上げることでの必要以上の飾り立ては、前にもまして毛嫌いするファンを生み出しはしたが、悲しみや疎外感をテーマにしたコンセプトは猥褻さを感じた者にこそ知りえる世界なのだということを僕らに語ろうとしているように感じられた。エロティックを通り越したとき感じるむなしさに、疾走するコアなサウンド。”ブラック・ナンバーワン”(#03)のPVはアメリカMTVで流れに流され、多くの狂信者TONリスナーを製造した。
彼らが奇をてらっただけのバンドでないことはその後の活動の歴史がきちんと証明をしている。彼らの底辺を舐めづるようなアティチュードはアメリカの裏風土としっかりリンクし、屈強なコアとは違った妖艶でいかがわしく美しいコアを表現できているわけである。
追記:しかし、当時このジャケをレジに持っていくのには若干の抵抗があったなあ…
- 価格: 2427円
- メーカー: ロードランナー・ジャパン
- 年(代): 1993年
- 団体名: タイプ・オー・ネガティブ
- 2003/06/09更新
- 2003/06/09登録
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