『ヒャッキエンズイヒツ』『ゾクヒャッキエンズイヒツ』ウチダヒャッケン
『百鬼園随筆』『続百鬼園随筆』内田百けん
「本を読むのが段々面倒くさくなったから、なるべく読まないようにする。
読書と云う事を、大変立派な事のように考えていたけれど、一字ずつ字を拾って、行を追って、頁をめくって行くのは、他人のおしゃべりを、自分の目で聞いている様なもので、うるさい。
目はそんなものを見るためのものではなさそうな気がする。
貧乏の揚句、家族の食うものがなくなったので、蔵書を売り払って、最後に、いくらか未練があった字引も、みんな売ってしまった。独逸語の教師をしているので、辞書の類は大分持っていたのだけれども、それを売ったら、何だかその語学にも興味がなくなってしまった。」『風呂敷包』より
百けん先生は偏屈だ。
ただ、ひたすら「イヤダカラ、イヤ」に尽きるのだ。
だが、読者は、偏屈と偏屈の狭間に、キラリと光る瑞々しい幼子の感性を見逃してはならない。
『続百鬼園~』に収められている『雀の塒』の心の闇を見よ。それに相対する、雀の鮮血のなんと美しいことか。このすさまじき描写力。・・・そして、柔らかい心。
百けん先生は人の苦しみを知っている。
だからこそ、の、偏屈なのか。
それを隠すため、の、偏屈なのか・・・。
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