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1973年のピンボール (1973ねんのぴんぼーる)

鼠3部作の2作目。1作目「風の歌を聴け」の後になるのだが、主人公となる「僕」と鼠は接することなく2つのストーリーが展開していく。
村上春樹の作品にはテーゼとアンチテーゼといった対称を用いた表現・展開が多く見られると思うが、この2つのストーリーはそういった意味では対称のようには感じられない。
三部作を通して、語られるのは「僕」の平凡さを軸にした鼠の非凡なまでの平凡さだと感じられる。それは完結編で明らかになっていくのだが、本作の方が実感として強く伝わってくるように思われる。
初めて読んだ高校生だった当初は、その簡潔でスタイリッシュな文体に魅力を感じた覚えがあったが、今は明らかに違う。
歳をとるにつれてどんどん生活がルーチンに入っていくことへの無気力感、それを逸脱するにはあまりに自分の能力が脆弱であることへの実感を受け、強い閉塞感を感じてしまう。
そういった意味では、物語性を前面におしだした完結編には救済すら感じるのは変だろうか。

個人的には村上春樹の作品としては一番辛い小説である。

Kaye画像 投稿者:
Kaye
  • 2003/06/20登録
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コメント (1)

2003/06/20

あぷりこ 大好きな村上春樹の小説の中で、一番、「どこにも行けない」感が不吉に漂う一冊だと思う。

つながりキーワード (2)

鼠三部作完結編。(実際このストーリーはダンス・ダンス・ダンスへと引き継がれるが、鼠がストーリーから外れることで三部作とは別に扱われるようだ。) 前2作と明らかに趣が違い、それまで静的だった...

村上春樹の実質的なデビュー作。群像新人賞受賞。 この後続く「鼠三部作」の最初でもある。 「僕」と「鼠」の二人を中心に話は淡々と進む。本格的に売れ始めてからの細部まで練られたドラマ性はまだ見ら...

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