ニホンチュウセイノヒャクショウトショクノウミン
日本中世の百姓と職能民
──百姓は農民ではない!──
歴史研究者、網野善彦の近著。ただし初出はすべて10年以上前のもの。有名な『無縁・公界・楽』はものすごく刺激的でしたが、この本もまたおもしろいです。学校の教科書で教わったような、通説的歴史観を覆してくれます。
「百姓」とは「さまざまな姓をもつふつうの人」であり、「平民」のことであって、必ずしも農民ではなかったことがまず示され、その百姓は、封建領主に隷属する農奴というよりむしろ「自由民」であったことが示されます。
……簡単に要約……
百姓は農業以外にも様々な生業を営んでおり、年貢にしても、米以外に鉄や塩で納められたりしていた、そしてその貢納には、交易が不可欠の前提となっていたため、百姓は自給自足の生活をしていたのではなかったのである。
百姓は「下人」とは異なり、地頭の私的な隷属化におかれてはならない身分であった。そして幕府、預所に訴えることで、地頭に対抗することができた。また百姓は、武装、移動の自由が社会的に保証されており、農業に限らず、様々な仕事を自由に営んでいた。年貢を契約に基づく租税と考えれば、百姓は「自由民」にほかならないのである。
……とまぁ、こんな感じです。期待どおりのおもしろい本でした。
網野善彦さんが亡くなりました。ご冥福をお祈りします。
5月号の文芸誌(どれだったか忘れました)に、甥の中沢新一氏の文章が載ります。
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