『バクシンチノゲイジュツ』サワラギノイ
『爆心地の芸術』椹木野衣
読むのに半年かかった・・・。
美術を勉強してる者として、日本現代美術の状況を理解したい、という意気込みが強すぎて(?)読むうちに、あちらこちらと参考文献的に様々な本を漁ってくうちに、たくさん道草食ってしまった有様。
そもそも、日本における「現代・美術」とはいったい何を指すのか?という問いから歴史を遡り、未だ封印されている「日本・現代・美術」の爆心地とも言うべき、「戦争画」の存在へと向かう。根源的に分断されてしまっている日本における美術史においては、現代美術などと言う概念はそもそも成り立たないのではないか?というのが椹木の持論。(「日本現代美術」という言葉が成り立たないので、椹木流に「日本・現代・美術」と表記してある。)
美術とアニメやマンガなどの境界線も無くなり、リミックス、シュミレーションといった表現方法により、ますますボーダーレス化する「現代・美術」にあって、すべての枠組みをリセットする試みを、主に村上隆と共に提唱し実現した、1999年水戸芸術館での「日本ゼロ年」展の模様も盛りだくさんに載っている。
(「日本ゼロ年」展とは、伝統の「猪木vsアリ戦」にのっとり、アート界の異業種格闘技戦によって、「現代・美術」のリセットを試みるというもの)
本書には、村上隆との対談も多く掲載されているが、
「日本ゼロ年」展にしても、村上隆流の海外逆輸入作戦にしても、現在の日本の美術業界の実態を提示してるに過ぎず、展覧会や作品そのものの質、ということとは別問題。海外に認められる事、世界における日本の位置関係に関心が始終している考え方は、あまり賛成できない。それに、今後の「日本・現代・美術」についての言及または提案が無く、物足りない感があるが、考えさせられる事が多く、本当に鍛えられた。
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