坂本直行
うちがこの方の存在を知ったのは北海道帯広で偶然に立ち寄った書店。ちょうどそこに並べてあった「(復刻版)開墾の記/坂本直行/北海道新聞社」を手にとってからだ。
ぱらぱらとめくってみた感じとしてこれは買わねば、という直感。
この開墾の記は、昭和11年、十勝の原野に入植した著者が過酷な開拓生活を精密に綴ったものである。
道東の気候は過酷だ。春は遅くそして短い。そして遅霜や早い秋の訪れ。
作物の栽培には厳しい。都合良く気候がおだやかであってはくれない。
また、当時の開拓には動物は不可欠だ。耕耘には馬の力が必要だ。酪農のためには牛。しかし、動物の命も都合よくはあってくれない。
そして厳しい冬。
もちろん自然の恩恵も多い。川に魚多く、自然の山野草も多い。
失敗と成功。本書にはそれが綴られている。
失敗がそのまま死に直結しかねない中でだ。
自然と対峙するとき、人は巨大な力の前に一種あきらめのような気持ちで、受け入れざるを得ないものを静かに受け止める。自然を憎むのでもなく。
本書で現れる自然は、最近よく使われる”自然”とは違った言葉である。
本来の姿の自然。生易しいものではない。
本書は日記文学のなかでも最も秀逸なもののひとつであるといえよう。
挿し絵に著者による植物のスケッチが入っていた。
自然の中での生。
右に著者の略年表を記してみた(かなり略)。
実際に園芸農場を夢見て、厳しい場所での開墾をされている。自然の中で、職をなし絵を描く。あこがれはするが厳しい現実の中での暮らしは大変なものだったと推察できる。しかしやはり素晴らしい生活だったんだろう。
憧れと尊敬を抱く作家です。
- 地域: 北海道十勝
- 年(代): 1927年北大農学実科卒
- 1930年入植
- 1942年に「開墾の記」
- 1957年初個展・画家
- 1982年75歳で永眠
- 2003/07/02登録
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