流れる
日本映画を代表する傑作とも言われる作品。
成瀬巳喜男監督、1956年、東宝。
原作は幸田文の同名小説。
舞台は戦後東京、大川端の花街にある芸者置屋。かつての売れっ子芸者つた(山田五十鈴)が女将をつとめる「つたの屋」も、時代の流れに飲み込まれ経営は傾きつつあった。難しい性格の一人娘(高峰秀子)、夫と別離れ幼い娘を連れて転がり込んできた妹(中北千枝子)、斜に構えた年増芸者(杉村春子)、現代っ子の若い芸者(岡田茉莉子)、女ばかりの所帯に住み込みの女中(田中絹代)が加わる。借金、強請り、次々と訪れる災難の中、何とか毎日を過ごしていく彼女たち。
大女優、名女優の競演を、成瀬監督が見事にコーディネート。冒頭からラストまで、すべてのシーンの会話、表情が素晴らしく、見惚れてしまいました。
昨今グローバリゼーションの功罪について盛んに語られていますが、この映画を観て、昔ながらの「日本の文化」というものが本当に失われてしまったんだなあ、と改めて思いを強くしました。衰退しつつある花柳界を舞台にしたこの映画は、まさにその「失われつつある」過程をリアルタイムで切り取った作品となっており、その点でもとても興味深く感じました。「流れる」というタイトルも、そういった映画の醸し出す雰囲気に見事にマッチしています。
成瀬監督の映画を観たのは初めてですが、あまりの素晴らしい出来に感服してしまったので、他の作品も是非観てみたいと思っています。
- 2003/07/12更新
- 2003/07/12登録
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