バンノウカントハナニカ
万能感とは何か~「自由な自分」取りもどす心理学
和田迪子著/新潮文庫。
「万能感」とは、自分は万能で何でもできるのだ、不可能なことはないという高揚した感覚や思い込み(精神分析でよく「全能感」と表される)。この感覚は、歴史上の人物や成功者に典型的に現れやすいが、普通の人にもみられる(日常語で「舞い上がる」、「天狗になる」、「調子に乗る」と表現できると思う)。
「万能感」とは「子供の心」であり、その肥大化により、現実検討能力が低下し、物事の適切な処理ができなくなる。そこで、自由な自分(冷静な自分)を取りもどすには、私たちに巣食っている万能感との闘いが必要だと筆者は述べる。
冒頭、筆者は功なり名を遂げた歴史上の人物(秦始皇帝、織田信長、明智光秀)が、万能感に振り回され悲惨な最期を遂げる生涯を分析している。分析には、1957年にアメリカの精神科医エリック・バーンが創始したTA(Transactional Analysis:交流分析)が利用されている。長くなってしまうので、ライフポジション(基本的な構え)についてちょっとだけ紹介する。
ライフポジションとは、自分と他人との関係表す人生における態度。これは乳幼児期に、両親や周囲の人たちとの関係から決定され、以下の4つがある。人はこれらのうち1つを採用し、それをもとに、人生の脚本をつくりあげていると考える。
1)私はOKである。他人もOKである。
2)私はOKでない。他人はOKである。
3)私はOKである。他人はOKでない。
4)私はOKでない。他人もOKでない。
TAは、精神分析の口語版とも言われるらしいが、自分には、精神分析の社会(対人関係)への拡張に見える。ストローク、ホットポテト、ゲーム、エゴグラム、ライフポジション(基本的な構え)など、専門用語が多く、理論もより精密になっている。
#「南方熊楠(ラーさん)から、リンクが貼られてから考えたこと」
この本では、万能感は悪者として扱われていますが、芸術家などの場合例外的に、万能感が良いものとして作用する場合があるようですね。藤子F不二夫、S.スピルバーグなんかはその例。
##これは、できるだけロジカルに、倫理(のベース)を語ったものと解釈できる。
- 2003/12/12更新
- 2003/07/24登録
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