ピカドン(PICA-DON)
故・木下蓮三氏製作の短編アニメーション。1978年作品。1945年8月6日朝、広島市上空で原子爆弾が爆発した、その瞬間を描いた作品。
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私が初めてこの作品を見たのは、小学校の平和学習でした。単純明解な題名から内容は予想していたのですが、実際に映画が始まると、何のことはない、ただ平凡な夏の一日が淡々と描かれるだけ。なーんだ、と気楽になった頃、画面に突如黒い影が走り、爆弾が落ちていき…。
その後のシーンを見た衝撃は、今でもはっきりと思い出せます。怖くて、恐ろしくて、声も涙も出なかった。
それから機会あるごとに見るようにしていますが、何度繰り返して見ても、やはり底知れぬ恐怖に駆られます。歳を重ねるにつれ、恐怖を覚える場面とその質が変化していくのも感じます。今では「日常が崩れていく」という概念が恐ろしい。
先の戦争では、日本という国は被害者だったり加害者だったり、いろんな立場にあります。でも、日々を生きるごく普通の市民にとって、戦争とは常に酷く苦しいものです。その究極の場面の一つが、この作品には凝縮されているように思えます。
日本を代表するアニメーション作家・木下蓮三氏の代表作の一つ、というか、彼の名を世界中に轟かせた作品です。全編素朴な手書きアニメは、製作技術の面では確かに現在の作品には劣るかもしれない。でも、この作品の「語る力」は今時のそこらのアニメなんか足元にも及ばない。アニメーションってこんなにすごいんだ! と、この作品を見るたびに思います。
なお、便宜上「エンターテイメント」で登録しますが、これはどう考えても「アート」だと思います。でも、「アート」の中に「アニメ(または映像)」という詳細分類がないんだな、これが…
(画面は原爆が爆発した瞬間を描いたシーンの1カット)
- 2003/08/05登録
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