綿矢りさ『インストール』
ぶっ壊れたと思ったパソコンも、インストールしなおせばヒョイと動きだしたりすることがある。
不登校することに決めた(?)女子高生が、ぶっ壊れたパソコンを捨てようとしたゴミ捨て場で小学生と知り合い、二人で風俗チャットのバイトを始めるという話。
小説とか映画のタイトルにコンピュータ用語を使われるのはあまり好きじゃないんだけど。
「リセット」とか「リローデッド」とかね。
小説の中にも書いてあるけど、この場合、本当は「インストール」じゃなくて「リセット」ですね。
でも、小説自体は嫌いじゃなかった。
「現役女子高生の文藝賞受賞作」というレッテルが邪魔な気もする。
ちょっと池澤夏樹の『スティル・ライフ』を連想した。
共通点は、
友情と呼ぶほどではない淡白な、ゆるやかな結びつきの二人。
コンピューターを使ってバイトをはじめる。
主人公が別の世界の側面を知ることによって精神的な解放に向かって一歩足を踏み出す。
そして予想外の報酬を稼ぎながら、二人ともそのお金にまったく執着しない。
あらあら、こう書くと本当にそっくり。
『スティル・ライフ』のようにスケールが大きい(悪く言えば観念的な)小説じゃないけど、現役女子高生という肩書きに甘えのようなものは感じないし、日常と非日常を図式的に分けるのでもなく、奇を衒わない抑制の効いた文章で、好感を持って読めました。
しかし装幀で損してる。
ところで、最近思うけど「等身大」という言葉は禁句にしたほうがいい。
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コメント (4)
2003/08/18
ミノル 吉本ばななは村上春樹と並んで装幀で得してる作家だと思います。いわゆる「ジャケ買い」率高そうですね。
2003/08/27
rempei タモリも「いいとも」の中で「等身大」という言葉を否定する発言をしていました。
あまり関係なくてスイマセン・・。
ミノル いやいや大いに関係あると思います。「等身大」だから良いなんてことはあり得ないはずなのに、そう言っておけばなんとなく安心するという紋切型の言葉だと思います
2003/09/15
ミノル あと、「現役女子高生の文藝賞受賞作というレッテルが邪魔な気もする」というのは、それが販売戦略だから邪魔なのではなく、そのレッテルや作家の容姿をネタに、作品ではなく状況の陰口(批判では無く)をたたいて自分の「業界人」としての位置を確保しようとする業界くんが鬱陶しいからです。
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