地球を彫刻した男
目まぐるしく文化が発達し、物・情報に溢れ、複雑となった社会では、精神のバランスを保つのは難しく、誰もが精神的に壊れてしまうという危険性を孕んでいる。
理性を膨らませ抑えられてはいるけれど、言ってみれば「反社会性」「境界線」的な部分を、多かれ少なかれ、きっと誰もが持っているのではないだろうか。
彫刻・建築などに、全く関心のなかったワタシだけど彼の作品である《赤い立法体》を見てゾッとした。そこには紛れもない、バランスとアンバランスの均衡が実在していたのだ。
極めて境界的な地点からのアプローチ・表現・手法、それは彼の哲学を垣間見た瞬間でもあったように思う。
ある昔の哲学者の言葉を借りると、
『優れた思想豊かな精神は、つねに最も自然で腹蔵なく単純なやり方で自らを表現し、なんらかのかたちでそれらが可能ならば自分の思想を保存し、また他人に伝え、いつの日かこの思想について熟慮し、それを評価することのできる人々のために役立たせたい。』
そんな意図さえ感じられずにはいられなかった。
彼を紹介するにあたり、できるだけ多くの情報・作品を伝えられないという状況は、非常に断片的すぎて、誤解を招くことになりかねない。その為にも【伝える】を考え、その手段・ありかたを明確にする必要があると思う。
総合的な視点からみても完成度の高い作品だと思う。
深い出会いを感じた。
イサム・ノグチ『地球を彫刻した男』(VHS)
STV札幌テレビ放送、米国ALTERNATE CURRENT 共同制作
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