「風景を作る人 柳生博」
日本一草刈機の似合う俳優、柳生博さんの庭師・作庭家としての自然、雑木林に対する考え方、拘り、係わり方が綴られた本。
実際に柳生氏が作った13邸の庭や、主宰する八ヶ岳倶楽部などの写真が満載で美しく、各項目ごとの短い文章も読みやすく、オチがついてるような柳生さんのお茶目さもあってとても楽しい一冊です。
柳生氏は自然の雑木林を守っているのではなく、改めて作り上げています。手付かずの自然は美しいとは限らない。柳生氏曰く、
「森はほっておくとついには極相になる。日陰でも育つ木が最終的に競争に勝つわけだ。原生林とはそういう森だね。」
なるほど、自然のままだと生存競争に負けて朽ちていく木もあるんですね。柳生氏は弱い木は育ちやすい場所に植え替え、幾種もの雑木が美しく育つように間引きや剪定もする。だから放りっぱなしとは違う美しい雑木林が何年かかかって誕生し、成長する。
ガーデニングなんて規模じゃない、まさに彼は風景を作っている。
柳生氏は「人間と自然の仲のいい風景」と言う。
「共生」という言葉は使わない。「仲がいい」。人にとっても優しく、美しく、楽しい風景。
車好きの柳生氏は愛車がかっこよく見えるような庭に自然に風景に作り変える。お茶目である。クルマの項目は特に面白いクダリです。愛車にも絶好の場所を与えることで彼の仲良く優しく美しく楽しい風景が完成しています。
原生林の素晴らしさを充分承知しつつ、
「~年に一度は知床の原生林に行くけどね、あの中には住めない。内省的にはなるんだけどさ、絶対にはしゃげない。」(柳生氏)
「修行僧じゃないんですからね。生活は楽しくなくちゃ。」(著者)
柳生氏は自然の中での生活をとても楽しんでいる。
自然と対峙する禁欲的な厳しいエコエコという感じではない、仲がいいのだ。
“お洒落して野良仕事をやろう!”
この項目も最高です。「愛すべきオヤジここにあり」
実際、八ヶ岳倶楽部でお目にかかった柳生さんは上から下までラルフローレンで決まっていて、さらに腰に拳銃のように下げた鉈がバッチリマッチしていてとても素敵でした。
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