jets to brazil / perfecting loneliness
ブレイク・シュワルツェンバックの思い描く普遍的な情熱。『Orange Rhyming Dictionary』(デビューアルバム)の衝撃を彼はいい意味ですっぽり包み込み、言い知れぬ嫉妬が中からにじみ出てきたかのようなアルバムをドロップした。僕にとってジェッツ・トゥ・ブラジル(以下:ジェッツ)の3rdアルバム『パーフェクティング・ロンリネス』に巡りあえたのは単なる偶然などではない。僕が求めて止まなかった暖かさ、探し求めているものにはきっと辿り着けると信じ続けたこと。それがこんないいアルバムを聴けることになったのだと思いたい。
-僕と君、2人の感情を表すサウンド、泣いている空にも聞かせてあげよう-
ジョーブレイカーというパンクバンドをご存知の方は、日本ではマニアと呼べると思う。90年にサンフランシスコのインディレーベルからアルバム『Unfun』をひっそりリリースし、精力的にライブを始め、以来少しづつ活動の幅を広げ、グリーン・デイ、オフ・スプリングスのブレイクにより、次なるバンドと目をつけられた95年遂に『Dear you』をメジャーのゲフィンからリリース。パンクに似合わぬ哲学的な歌詞は業界内で話題を呼ぶが、商業的成功を収めることはなかった。バンドは解散の道を辿るが、その中心人物であったブレイク・シュワルツェンバックには既に次なるバンドへの構想を抱いていたという。
クリス・ダーリー(ds)→NYが生んだカリスマバンド、テキサス・イン・ザ・リーズンに在籍。ジェレミ-・チャテェレイン(b)→これも伝説になったハードコア・バンド、ハンサムのvo&gとして活躍。ブレイクは解散後、まるで用意してあったかのような素晴らしいメンバーに出会いジェッツを結成する。また1stレコーディングの際にはブレイクの長らくの友人であった、元ジョーボックス、現バーニング・エアラインズを率いるJ.ロビンズがプロデュースをすることになり、サウンド面での完璧な仕上がりがさらに加速した。
1st『Orange Rhyming Dictionary』が素晴らしすぎたため、続く2nd『Four Cornerd Night』でのカントリーへの傾倒は古くからのファンを歎かせた。ギターからピアノへと楽器をシフトしてしまったブレイク(ジェッツになってはじめて彼はピアノを弾いたという)は一心不乱にピアノを引き続け、それがファンにとっては過去への冒瀆(ぼうとく)に感じたのだ。だが、ブレイクはピアノを辞めなかった。ギターにブライアンを加えた4人編成のジェッツはブレイク自らが生んできた楽曲への否定と肯定を繰り返し、新たな領域へとその駒を進めたのだ。
スピードを落とし、じっくりと奏でられた"perfecting loneliness"(#04)のイントロ、力強いドラミングとブレイクのしっかりした声。ジェッツは新たな魅力を搾り出すことに見事成功した。"wish list"(#06)の曲間に訪れるソロギターの美しさは歌詞にある「言葉を書けばブラックホールから抜け出せる」という言葉に直結しているかのようだ。アルバム全ては暖かくて、優しくて、逞しい。ブレイクのピアノとヴォーカルは円熟味を増し、サウンド・プロダクトをする盟友J.ロビンズもまた貪欲にその音へ味をつけていったのだ。
人に嫉妬し、自己嫌悪し、大切なあなたと離れていることにおかしくなりそうでも、自分を見つめなおして頑張っていくべきだ。ペンを走らせる偉大なる詩人はギターをピアノに持ち替えてでも、その信念を貫こうとしている。
それがたとえ、孤独のど真中にいたとしても、僕はその言葉を信じるべきなのだろう。
- 価格: 2400円
- メーカー: ビクターエンターテイメント
- 年(代): 2002年
- 団体名: ジェッツ・トゥ・ブラジル
- 2003/11/10更新
- 2003/11/09登録
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