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ダムタイプ

dumb type『Voyage』(2002)

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古橋悌二が亡き後、彼らはメモランダム以前の「意味/強度」という対立軸のなかでの緊張が、ますます揺らぎはじめているからではないか?と観終わった私は考えた。つまり高谷史郎と池田亮二によるテクノロジカルな映像と音楽によって後者に傾いているという印象だ。多くのファンが下した、メモランダム以降の評価は大きく別れるものだったが、私は新生ダムタイプを牽引する両氏の技術力に裏付けられた、新たな局面に入ってしまったのだという見方をしたい。

まだ誰もが踏み入れたことのない、視覚や聴覚による無意識へと訴える表現を、ステージを観たことのない人に伝えることは難しい。言葉の間をすり抜ける数値化できない感覚(■1)。その何かへと彼らは、圧倒的なテクノロジーによって迫ろうとしている。

海鳴りのような巨大な音と暗闇と球体。氷山と寝転んだ赤いマフラーの女性。古橋悌二なきあと、まさに最先端といえる池田亮司の音と高谷史郎の映像に拠るところが大きいことは知られているとおり。よって、前回の記憶をテーマにした「memorandum」が、まさに彼らのメタレベルでの作品だったのに比べ、旅と存在をテーマにした「Voyage」の作品の印象は弱い。テクノロジーの使用も前回の同一線上にあることも起因しているのだろう。

私としては、ICCでおこなわれた同名の展示会の方を高く評価したい。

■1:小林敏明は「方向(サンス)としての意味」というなかで、こう述べている。
「確固としたシニフィエをもたないシニフィアンの戯れはけっしてたんなる無ではなく、なにかを生み出している。そのなにかとは、必ずしも既成の言葉によって表現できるものではないが、あえて言えば、それは『気分』であり、『感情』である。……シニフィアンのもたらす効果(エフエ)のようなものであると言わなければならない。」

また『デザイン言語』(ダムタイプの高谷史郎も書いている)という書籍のなかで、茂木健一郎が「クオリアと来るべき世界観」と題してこう述べている。

「私は非常に驚くべき体験をしました。……ガタンゴトンという電車の騒音を何となく聞いていました。……突然、その『ガタンゴトン』という音が、非常に生々しい質感として聞こえてきたのです。それまで……ニュートンの方程式のような、方程式の項として代入できる数量的なものだけから、世界は成り立っているのだと思っていた。ところがガタンゴトンという電車の音の生々しい質感は、絶対に数値化できない。その音が何デシベルであるとか、周波数分析するとこのようなスペクトラムになるとか、そのような解析をいくらしても、生々しい音の質感そのものには決して迫れない。私たちの感覚は、そのような、数値化できない質感から出来ている。」

dumb type『Voyage』(2002)

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  • 2003/11/14更新
  • 2003/11/14登録
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コメント (1)

2003/11/14

らら 拝読いたしました。なるほど、クオリアですか…。わたしにはなかった視点で興味深いです。過去の日記の蔵出しもしてみました。http://www.fastwave.gr.jp/diarysrv/...

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