MORVERN CALLAR (a film by Lynne Ramsay) / Soundtrack
昨年『24Hour Party People』と共にどうしても日本での公開をして欲しかった映画がこの『MORVERN CALLAR』だった。どちらも僕の執念にも近い(危ない)祈りが通じたのか、単に初めから決まっていたのか、あっさりと日本公開され、そしてどちらのサウンドトラックも無事日本盤がでた。しかしながら、サウンド・トラックの完成度だけを比較すれば『24Hour Party People』ではなしえることが出来なかった名盤という称号は、この『MORVERN CALLAR』にこそ得たと僕は思う。
スコットランドの港町に暮らすモーヴァンは、クリスマスの朝、 悲劇に直面する。恋人が自殺を図り、 キッチンにその死体が横たわっていたのだった。彼の形見となったパソコンには、 彼女宛ての遺書と、 処女作であり遺作となる1編の小説が残されていた。そしてクリスマス・ツリーの下から、 "君のための音楽"というタイトルのついたテープが出てくる。モーヴァンはパソコンの画面に浮かび上がる小説の表紙をしばらく見つめると、 著者名を自分の名前に
書き換えた。それを出版社に送ったことから、田舎町のスーパーで働くモーヴァンの人生が一変したのだが…。(オフィシャルHP文章から抜粋)
サウンドトラックの曲を繋げているのは映画の中の自殺した恋人である。つまりは、彼が作った”君のための音楽”というテープを僕らも主人公である彼女と共に追うことができるというのがこの楽曲群の面白いコンセプトだ。ドラッグ癖から来るモーヴァンの心象風景の複雑な変化、視覚がない交ぜになる身体的症状をこのつなぎ合わせは上手く表現しており、実際映像と重なったときのトリップ感覚は寒気を覚えるほどの恐ろしい出来栄えだった。だが、映像を見なくてもこのアルバムの流れでその感覚は充分理解できる。
僕がこの映画に興味を持ったのは、内容もさることながらWARP RECORDSが出した初めてのサウンドトラックだったという点にある。ボーズ・オブ・カナダやエイフェックス・ツインといったWARP看板アーティストが入っている(とはいっても既発表の音源だが)というだけでなく、CANやステレオラヴといったクラウトロック(ステレオラヴはちょっと違うかもしれないが)な面々、さらにはヴェルベット・アンダーグラウンド、ナンシー・シナトラ、WEENまでをもつなげたといったヴァラエティの豊富さ。それをひとつの目的に向けて集結させたというのが、ゴールデン・トラックスと名づけられる所以なのだと思う。
中間地点にあるガムランドラミングを境にして僕は前半と後半の気分に酔うのだが、テクノというミュージックが肉でありサラダであるようなエッセンスで組み込まれているこの流れは、新感覚であり、普通のサウンドトラックにありがちな雑多にイメージを散らばらせることがない。それはおそらく、テクノやエレクトロなミュージックを生み出すサンプリングというのはあらゆる場所から連れてこられた世界の雑多さを元々有していることに他ならないのだと思う。テクノ感覚のみを模ったものは結局その枠を出ることは出来ないが、本質的なテクノ感を持っているものはつまりは皆テクノになり得るということを、ひょっとしたらWARPは音というツールを持ちいて説明したかったのかもしれない。
故ロブ・ミッチェルへ
- 価格: 2381円
- メーカー: ビート・レコード
- 年(代): 2002年(日本盤は03年)
- 団体名: V.A
- 2004/01/10更新
- 2004/01/09登録
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