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心霊写真・アート・霊的コモンズ

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かつてジャック・アタリが名著『ノイズ―音楽・貨幣・雑音』で看過したように、ノイズの中からモーツァルトやジミー・ヘンドリクスやナイン・インチ・ネールズをつかみ出すこと、あるいはとと屋の茶碗に美を見いだしてそれをすくいあげることにこそアートの本質があり、価値創造/発見の本質があるのだとすれば――そしてローレンス・レッシグらが指摘するように、そうしたノイズやとと屋の茶碗の活動する場を確保することにこそコモンズの本質があるのだとすれば――

おそらく以下のURLで紹介されているMS Home Style こそ、実は21世紀の新たな価値創造ツールといえるのではないか。MSオフィスのおまけソフトとして見過ごされることの多かったこのソフトを使って、何気ない風景の中に潜む霊を探る――おそらくソフト制作者すら思いつかなかった、異様な利用法ではあるが、それはあたかも、日常風景の中に埋もれたとと屋の茶碗を掘り出す営為にも等しい、われらの日常生活を一変させる恐るべき含意を持つ。われわれの生活は、実は人々をさりげなく見守る顔たちに取り巻かれているのだった。それをこのような形で、しかもコンピュータの力を借りることで認識させてくれること――これで日常が一変しないような人には、そもそもアートも価値も語る■などないのである。

かつて宜保愛子を嘲笑したわれわれは愚かであった。この世のあらゆるところに霊を見いだす――その行為にこそ、未来の新しい価値はあるのかもしれない。そしてそれを、このようなさりげない形で、一部の特権的な霊能者ではなくあらゆる人々に可能にしてくれたマイクロソフトに、われわれは大いに感謝しなくてはならないのではないか。日常世界の霊的コモンズ――いまや世界は、霊界という新たなる世界とのインターフェースを手にしたのである。

ちなみに、押井守のできの悪い映画『イノセンス』で、主人公バトーは、どこでも自分を見守っているゴーストだか天使だか(草薙素子)がいるのだ、と主張していましたが、かれが検出に使っていたのもこのソフトと思われます。

心霊写真・アート・霊的コモンズ

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投稿者:
山形浩生
  • 2004/03/26更新
  • 2004/03/26登録
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