うんべると・えーこのぶんたいれんしゅう
ウンベルト・エーコの文体練習
エーコと言えば、「薔薇の名前」「フーコーの振り子」が有名なイタリアの作家・学者ですね。
二作品とも上下巻、しかも分厚いし、何よりも内容が難解。
一応両方とも購入したのですが、「薔薇…」はなんとか、「フーコー…」は積読状態です。懐かしい、積読と言う言葉。
で、こりゃヨロしくないなあ、と思っていたときに書店で見かけたこの文庫。
エーコの本が文庫に!しかも、薄い(←重要ポイント)!
「フーコー…」をほったらかしにしつつも、早速購入してしまいました。
文体練習という名の通り、既存の有名文学作品を元に、フーコーらしい遊びとひねくれとウィットにとんだアレンジを施した、短編集なのですが。
これは上記二作品で苦労した方もスーっと読めちゃうんじゃないでしょうか。
ちなみにエーコが参照した作品が、、「ロリータ」「O嬢の物語」「チャタレイ夫人の恋人」「神曲」
や、聖書、J・ジョイスなど。
ここまでのキーワードでも結構興味深い。
私の好きなのは「あなたも映画を作ってみませんか」。
エーコが1972年に記したものなので、取り上げた監督はアントニオーニ、ゴダール、ヴィスコンティなどなど。
これをいかにエーコが料理したか!
1972年当時、まだビデオが珍しかったため、ビデオが普及した世の中と言う設定で、それがより個人レベルにまで広がり、ひいては映画産業が廃れて個人が映画を簡単に作れるようになった、その手引き書というスタイルをとった短編作品です。
それを上記の各監督風に作るには…という切り口なんですが、それぞれの監督の作品を見ている人にとってはクスリ、とか、にやり、っていう笑いを起こさせる作品だと思います。
あとは是非本書を読んでみてください。
序文に、エーコの言葉として「もしわたしが日本語を知っていたら、もしかしたら、翻訳のなかでわたしの<遊び>が、わたしの希望どおり新しい味わいを獲得したことを発見することができるかもしれないのにということだ。」とあります。
この姿勢、記号論学者としてのエーコと、彼のユーモアの部分を表しているように思えてとても親しみを持ちました。
エーコのひととなりが見えれば、「フーコー…」にも再チャレンジできるかもしれません?
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