りょうごくオシャレりきし
両国花錦闘士
花錦、と書いて「オシャレ」と読みます。
「陰陽師」「ファンシィダンス」で有名な岡野玲子さんの漫画。
私は映画の「ファンシィダンス」が先で、まさか原作が漫画だとは思ってはおらず、後から漫画を読んでその奥の深さにびっくり。
お寺が舞台だからなのだろうか?
「あ・カル~い」とは言いながらも、禅語や雲水達の生活を80年代のバブリーな大学生に見事に絡めた珠玉の作品。シャバ時代と修行時代と、そのギャップが見事にまとまって、この作品自体、生きるということを考えさせる一つの修行過程のよう。
これを読み終わったとき、何となく中沢新一の本を読んだときのような気分になりました(実際、「両国…」の文庫版では中沢氏が「ファンシィ…」についても言及している解説がついていた!)。
で、こちらは両国の名の通り、お相撲さんがメイン。
学者一家の末っ子で男前でナルシストで天然?の昇龍関、理想的なアンコ型だけどいじめられっ子でほのぼのポエマーな雪乃童関。
この二人のライバルとしての対抗心に、エキセントリックなアイドル事務所社長の桜子と、ほんとは野球雑誌に行きたかった相撲雑誌編集者の橋谷淳子の女性達の対抗心も平行して話は進んでいく。
私は、自分で興味もあったし、何かとお坊さんやお寺さん、仏教的なものと関わることが無いわけでは無いので「ファンシィダンス」の世界は、なんとなく親しみやすかった。
でも、お相撲さんの世界はハッキリ言って全くわからない。
相手に土をつけたほうが勝ち、とは勿論知ってはいるけど、それ以上の興味はありませんでした。
しかし!
流石岡野玲子マジック、あの繊細な絵でお相撲さん描こうってのがまずすごい。
それに時代性(若・貴ブームの頃)も含めて、なんとはなくに物語を進めているけどその行間に見え隠れする部分が分かってくれば、それぞれの屈折やプライド、苦悩や慢心なんかがシニカルに描かれているのも分かり、これは普通の「相撲もの」の漫画、スポーツ漫画では描写出来ないスタイルの「相撲もの」を確立しているようにすら思えてくる。
ものすごい計算と取材の正確さが無ければ出来ない話です。
この作品以降、「陰陽師」「妖魅変成夜話(ようみへんじょうやわ)」になると、更に一つ上のレベルまで突き抜けていて、「ファンシィ…」「両国…」の気楽感より、学術的&高尚さが強くなってきてる気がするので、岡野作品を気楽に楽しみたいならば坊主&力士がおススメです。
しかし彼女の作品は、全て共通する印象を受けます。
岡野作品の雰囲気が好きだけどまだ読んだことが無いならば、買い、です。
「両国…」の表紙は、著名泰正名画のパロディです。
ここらへんだけみても、この人はヤルな、と思えますよ。
岡野玲子さんのHPも、一本スジ通ってます。
- 2004/06/21更新
- 2004/06/21登録
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