ゴシック名訳集成 西洋伝奇物語
「本朝伝奇文学の法燈を新世紀へと継承するためのシリーズ<伝奇ノ匣>。/ひさびさに到来した七番目の匣は、従来のそれとは明らかに異なるエキゾティックな肌合い、噎せかえるような異邦の香りに包まれている。/そう、本書は、西欧伝奇文学の一源流であり、わが国の近代伝奇小説誕生にも見過ごしえない影響を及ぼすこととなった泰西ゴシック文学の粋を、諸大家の歴史的名訳にによって全三巻に集成する、シリーズ内シリーズともいうべき新たな試みの第一弾なのである」(編者・東雅夫による「解説 西洋伝奇事始 -泰西ゴシック文学移入の先覚者たち」より)
収録作品
口絵 詩画集「大鴉」 ギュスターヴ・ドレ画
大鴉 エドガ-・アラン・ポオ著 日夏耿之介訳
アッシャア屋形崩るるの記 エドガ-・アラン・ポオ著 日夏耿之介訳
おとらんと城綺譚 ホレス・ウォルポール著 平井呈一訳
開巻驚奇 龍動鬼談 エドワード・ブルワー=リットン著 井上勤訳
怪の物 ドクトル・エマニエル(エドモンド・ドウニイ)著 黒岩涙香訳
「モンク・ルイス」と恐怖怪奇派 小泉八雲著 平井呈一訳
小説における超自然の価値 小泉八雲著 平井呈一訳
先日観た、町田市立国際版画美術館「ダンテ 『神曲』 の旅 描かれた地獄・煉獄・天国」展でもよかったギュスターヴ・ドレの、「大鴉」の挿画が素晴らしい。扉のうしろにの暗がりに潜んでいるこの世ならぬものの視線。日夏耿之介の、観念の病篤い、流麗極まりない文語体の訳文がドレの挿画に寄り添っている。
「しかれども大鴉 こころ悲しき想ひをば愈よ微笑と変へつれば、/儂ひた向きに褥椅子を、禽と石像と扉前とにめぐらしすすめ、/扨 天鵞絨に躯を埋み 果てしなき観想の絲をぞ辿りたる。/この古き世の凶鳥が、/この上つ代のいと物凄く見苦しく蒼寥枯痩の摩賀鳥が啼聲の 意味をもとめて/ 「またとなけめ」と啼ふこゑの。」
「ゴシック名訳集成」シリーズは「東方幻想譚」と「吸血妖魅譚」が続刊される予定。
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コメント (3)
2004/06/24
雲衣。 ‥‥ううう。このKWで一昨年買ったまま埋もれていた1975年出帆社版ドレ画/日夏耿之介訳『大鴉』を探し出すと福田平八郎とナン・ゴールディンに挟まってました(苦笑)。これも何かの縁、これから読みます(笑)。
もえぎ 面白そうですね。手元には20年近く前に神保町特価書籍で購入の薔薇十字社『大鴉』日夏訳ドレ画があります。これは英文付で面白いです。平井訳『おとらんと…』は、相変わらずの>るび< 攻撃でしょうか?
2004/06/25
steward あ、「おとらんと城綺譚」は総ルビではないです。たとえば「城主」には第1行からルビが付けてありません。「怪の物」はこの本でも総ルビですね。「大鴉」、ポオの原文の一部が口絵に付されていますが、単に詞章理解の難易だけを問題にするのなら、原文を読んだほうが余程易しいですね。
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