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リュック・ゴダール監督『愛の世紀』(2001)

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4月にジャン・リュック・ゴダール監督『愛の世紀』を見たときの話。

いつもの言葉と映像による、シンボルとイメージの哲学問答が繰り広げられるなか、印象的だったのは鮮やかなモノクローム(現在)とデジタル処理されたカラー(過去)の映像の美しさ、そして再び過去から今へと円環していくラスト5分間のシーン――雨に濡れたフロントガラス、滲んだ街のネオンを映しながら走る車、主人公に重なり合う濃紺の海とともに語られるモノローグ――「そこから歴史が始まる。真の歴史が」。紡ぎ出された言葉が海に飲み込まれ、繰り返されるように言葉と映像が押し寄せてきます。

歴史や言葉が終焉したとされます――英語の台詞や電話のベルが言葉の隙間に割り込む、窓を叩く子供たちが会話を中断する、でも一方で歴史は再びその円環を繰り返し始めてもいます。歴史を持たぬがゆえに外へ物語(起源)を求めつづけるアメリカ、戦後になってもレジスタンスだったころの暗号を名乗る老夫婦――「それ(前向きな人生を心がける人)とは対照的な考えの人は時の流れを拒みます。そのため過去との固い絆が生まれるのです。ほとんどの老人はこう考えています。…誰もが――」つまり誰もが歴史を失い、その多くはいまだ歴史を求めつづけているのです。「『大人』はあいまいです。ありのままじゃない。ポルノ映画であっても物語が必要だ」――ゴダール本人も「誰かが大人になることについての映画」と述べているように、歴史の終焉の後に訪れた現在、その認識を乗り越えたところへ、逃れられない、取り残されたアーカイブという名の、新たな歴史が立ちはだかってくる気がしました。

しかし、歴史の借用を基本とする氏の作品群において、本作(というか『映画史』以降のすべての作品)は非常に個人的な映画と言えるかもしれません。繰り返しになりますが、ポストヒストリカルな状況下でモダニズム以降の手法(アプロプリエイション=盗用芸術)を、ある意味で継続していくことは、どうしても批評としてではなく極私的なものへならざるをえないのです。とってもひっそりとしたもの。

「あることを考える。あることを考えるとき、実際はいつもほかのことを考えている。ほかのことを考えずに何かを考えることなどできない。例えば新しい風景を見たとしよう。その゛新しさは、自分が以前から知っているほかの風景と、心の中で比較して認識される」

お静かに。

リュック・ゴダール監督『愛の世紀』(2001)

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