「ルイス・バラガン 静かなる革命展」
5月に木場にある東京都現代美術館で「ルイス・バラガン 静かなる革命展」を見てきたときの話。これは、「メキシコのモダニズムを代表する建築家」であるルイス・バラガンの業績を、図面や写真、模型やビデオなど豊富な資料を通じて探る企画展です。
展示会の名前の通り、氏の造る邸宅建築――その多くは白壁とピンク色の壁が、外から見るとシンプルに、内は中東のアジアの回廊のように水場や緑とともに巧妙に計算された形で配置されており、それらはメキシコの明るい日差しのなかで、とても神聖な静寂さを兼ね備えているように見えます。例えば、バラガンが好んで用いた色――そのピンクは日本で流通するピンクとはまったく別の文脈を纏っています。ピンク色の壁は、住居に暖かみを感じさせながらも静謐な佇まいを感じさせます。でも、なぜそう見えるのか。中東アジアの建築の影響を受けていることや、キリスト教信仰が礼拝堂の建築のみならず、住宅からランドスケープ、都市計画にまでに至る発想を貫いていること――幾つかの具体的な理由を考えてみても、作品の動機や背景を説明するだけで、どうやらあの静寂さを解明することはできませんでした。
キュレーションは安藤忠雄が務めたのですが、その理由はとてもよくわかります。安藤忠雄は、モティーフの信仰心や建築素材といった点で異なれど、外観の単純さや考え抜かれた内装、回廊のような高い壁や採光に対する考え方では、ルイス・バラガンからの多大な影響が伺えます。晩年のバラガンがランドスケープへと向かったことと、安藤の近年の瀬戸内海周辺でのいくつかのプロジェクトや建築――打ちっぱなしの壁と自然の緑が時間の経過とともに同化していくという建築の考え方とは符合する点を感じずにはいられませんでした。
肝心な建物のない建築家の展示会――期待していなかったけど、下手な美術展に比べて、よほど大きな発見がありました。おすすめです。特に淡々とした視点で建造物を映し出すビデオが。ってもう終わってるけど。
- 2004/06/29登録
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