奥出直人、後藤武編『デザイン言語――感覚と論理を結ぶ思考法』慶応義塾出版(2002)
世界の様々なものはデザインされています。例えば、あるコピー機があって、紙をセットする場所が緑。補充する場所は青。スタートボタンも緑。紙がなくなると青いランプが点滅。「そのほかにも色、形、ラベルなどが体系的にデザインされていて、しばらく使っていると、まるで日本語の文章を読むように……われわれはコピー機を使えるようになる」。このように優れたデザインは、私たちの行為を順序づけ整理をして、スムーズに成し遂げることを可能にします。つまりデザインからある一定の感覚を呼び起こす。もしくは、その呼び起こされた感覚が、ある一定の行為へと導く(アフォードする)。そういったデザインと感覚(それに伴う行為)を論理的につないでいこうという考えを「デザイン言語」と呼んでいるようです。これは、近年のアフォ―ダンスやクオリア研究の問題意識と深い繋がりもった分野でした。執筆陣のなかには、建築家の隈研吾、ダムタイプの高谷史郎、港千尋から久保田晃弘まで、幅広い分野からの人選。
アフォーダンス■佐々木正人「レイアウトとアフォーダンス」より。カップやスプーンの操作には問題ないけど、その運動を連鎖させて「コーヒーが入った」という状況をつくれない観念執行症の疾患に「コーヒーを一杯入れてください」と頼んだときのこと。その患者が訓練をつんでいくうちに、机の上にあるカップやコーヒーの粉などの配置換えの回数が増えていったそうです。氏は「コーヒーを入れようという時に、手は刻々と眼前の物の配置関係を変えて、一杯のカップにコーヒーが入っているという配置を最終的につくりだしているていく」ことに気づきました。つまり、行為はレイアウトを利用してなされ、また逆にレイアウトが変更していくことによって行為は動かされます。
「レイアウトと行為とは循環している。環境のレイアウトを変更することと何かをするということは一体なのです」。生態心理学者である佐々木正人は、アフォーダンスについてこう定義しています。「物とアフォーダンスとは、その物が他の物との配置に埋め込まれた時に現れてくる性質なのです。アフォ―ダンスの心理学は、行為で周囲を描くことを目指しています」。
自分の行為と環境――周りの見え方が、ほんの少しだけど変わるかもしれませんね。
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