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ザ・キュアー『ザ・キュアー』

 ザ・キュアーが新作リリース!? しかもプロデューサーは、あのスリップノットとKORNを生んだ(個人的には、アット・ザ・ドライヴインとグラスジョーを生んだ!と言いたいが…)ロス・ロビンソン!? そんなニュースを聞いた時から、期待半分、不安半分で待ち続けた新作『ザ・キュアー』。

 ロス・ロビンソンというのは、ささくれ立ったサウンドと不安定なヴォーカルで生々しいエモーションを表現するタイプのプロデューサー。最近の定型化した“エモ”“エモコア”ブームにはイマイチ乗り切れず、不発続きだった彼が、これまでのイメージとはおよそ対極にいると思しきキュアーと組むとは、さてはヤケ起こしたか? もしくは、ロバート・スミスの存在感にかつてのジョナサン・デイヴィスを見いだしたのか? ともあれ、興味深い取りあわせである。

 他方、キュアーが、自らのバンド名を冠した新作に、バンドから見れば一世代若いタイプのプロデューサーと組むことを辞さなかったのは、これまで自らを覆っていた暗澹たる殻を破ろうとしたからなのだろうか?

 …なんて思いを抱きながら聴いた今作。輸入盤なので歌詞は分からないし、不勉強ながらまだインタビューとかも読んでいないので、印象に留めるが、ずいぶんライトになった感じがする。ロスが求める音の重さが、強く攻撃的であるのに対し、キュアーの音は陰湿で翳りを帯びたアンニュイなもの…だったはず。その双方のそれぞれの重さがぶつかった結果、お互いの個性を打ち消しあってしまった、というような、そんな印象。。ギターのアレンジやディストーションものっぺりしている。ヴォーカルは高音が目立つ。確かにただでさえ不安定に揺れるロバート・スミスの声は、キーを上げることで一層キリキリと響くのだが、キュアーの過去の作品に漂っていたあの暗さに思い入れを持つ者の耳には、どうしても違和感を伴ってしまう。

 とはいえ、とにかく曲が素晴らしい。1曲目は特にお気に入り。それに、何となく…ではあるけれど、バンド自体はいたって元気というか、やる気満々というか、ちゃんと活動していこうとしているのが伝わってくるのである。だから、今作を聴いて自分が感じる食い足りなさや違和感も、決して減点対象などではなく、今作を特徴づけるものとして捉えるべきなんだろうか?と思う。

 そんなこんなで、結局繰り返し聴いてしまうわけで、つまりこうやって聴き手にリピートさせてしまうというのは、やはり良い作品である証拠なのかもしれない。あと、デザインがいいね。生きることに疲れたバスキアみたいで。

ザ・キュアー『ザ・キュアー』

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1969
  • 2004/07/04更新
  • 2004/07/04登録
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