儒教とは何か
加地伸行(中公新書)
儒教といえば、倫理道徳の類と考えられがちだが、この本ではそうした礼教性の部分以外の、宗教性、哲学性について多くのページが割かれていて面白い。
まず、宗教性(死生観)だが、仏教が「因果や運命に基づく輪廻転生」、道教が「自己の努力による不老不死」であるのに対し、儒教は「子孫の祭祀による現世への再生」である。
現世での楽しみを至上とし、また来世や天国を認めない者にとっても死は訪れる。さて、どうする? そこで、儒教では死者は、祭祀(招魂儀礼)によって現世に再生する、と考えるのである。
そして、こうした招魂儀礼(祖先の祭祀)と、父母への敬愛、子孫を生むこと、これらをまとめて「孝」とする。つまり、「孝」を通じて「子孫の祭祀による現世への再生」が実現され、自己の生命が永遠であることの可能性に触れうるのである。
哲学性(存在論)については、儒教の後継の朱子学(宋学)によって構築された。「無から有が生まれる」とする道教に対して、「存在とは無であり、同時に有である」とする。これは、孔子の言葉「述べて作らず」(良いものをピックアップするだけで、創作しない)とも整合性が取れている。
儒教は意識されることすらない、マジョリティの暗黙の宗教という気がする。
このキーワードはコレクションに選ばれています(2)
- メイン
- コメント(0)
- つながり(7)
- トラックバック(0)
コメント (0)
まだコメントされていません。
つながりキーワード (7)
現代人の論語
- (半無人)
呉智英・文藝春秋 『諸子百家』というタイトルで、老子から始める浅野裕一には驚いたが、こっちもいきなり孔子が叛乱軍に参加する箇所からスタートする。『論語』は単に安全で無...
自由学問都市大坂―懐徳堂と日本的理性の誕生
- (半無人)
宮川康子、講談社選書メチエ 江戸(荻生徂徠)や京都(石田梅岩)の学問に反発しながら、独自の学問を構想した江戸時代は大坂の儒者達の話にて御座候。それは、儒学を背景としな...
孔子―聖としての世俗者
- (半無人)
H.フィンガレット, 山本和人訳・平凡社ライブラリー 孔子の言葉を、できるだけ西洋的思考に拘束されないように解説したとある。文章の断片の集まりのような論語から、「仁と...
儒教とは何か
- (izawa)
加地伸行著 儒教概論書です 新書ですがかなり内容の濃い面白い本です 儒教が宗教性と礼教性の二つの面から成り立っていることを指摘し、「孝」という生命論に基づいた宗教性について綿密に述べられてい...
日本人なら知っておきたい神道
- (lightcyan)
西欧近代と宗教思想の関係について読んだことを少し書いたので(『現代文明論 上 「西欧近代」再考』のKW参照)今度は日本の神道について。いくつか見て1番読みやすそうだった...
孔子の哲学
- (2026)
石川忠司 著 副題 「仁」とは何か 河出書房新社 2003年6月30日発行 待望の、本当に待ちに待った石川忠司の新刊である。 (帯の文句) 『論語』はアンチ・ヒューマ...
論語
- (golG)
子曰 *紀元前450年ごろの孔子とその弟子との会話。孔子の言葉を編纂した思想本。日本では侍の教科書として寺子屋で使われていた。 *家主絶対制だとかはまるっきり賛成でき...






現代人の論語
自由学問都市大坂―懐...
孔子―聖としての世俗...
母型論


