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『ヴァイブレータ』

 赤坂真理原作の映画版。もともと好きな小説だったから、というのもあるが、とても丁寧に原作を起こしていて、地味ながら好感が持てる。モノローグの多い作品だが、端折ったりせず、かといってテンポも落ちず。

 他人との関わりをうまく結べず、幻聴に悩まされて、飲酒と食い吐きを繰り返している女性が、行きずりのトラック運転手と、肉体関係を通して癒されていく…というようなお話。これといった展開はなく、しょっちゅうセックスばっかしているので、一歩間違えばエロ映画にもなりかねないのに、折り目正しく本質を伝える作品に仕上がっているのは、監督の技量もさることながら、やはりキャスト2人の力によるところが大きい。

 映画賞を総なめにした寺島しのぶがやはり目立つが、彼女を静かに見つめ、包み込む岡部役の大森南朋が素晴らしい。原作の岡部はいまひとつイメージがはっきりしなかったので、このキャスティングで腑に落ちたという感じ。

 大森南朋も、前から好きな俳優だったけど、この作品ではいっそう光を放っている。キリキリ病んでいる女性を、静かに見守り、同情もせず逃げもせず、同じ歩調で歩いてあげられる男性。でも、自分のスタイルは決して崩さず、かといってそれを主張するわけでもなく、淡々と生を消化している男性。理屈ではなく、感情でもなく、本能で人間を感じられる男性…。こういう役は非常に難しいはず。真実ともホラともつかない話を延々独りで話しつづけるトラックの中での演技も、間の取り方とかアクセントのつけ方とか、かなりのセンスが要求される。それをあんなに自然にやってのけるのは、さすがとしか言いようがない。時々、すっごく優しい目をするのが、またいい。

 にしても、寺島しのぶの体当たり演技。。あれは女優魂というよりは、けっこう“地”、なんだろうな?なんて思ってしまうのは、ワイドショーの見すぎ??

『ヴァイブレータ』

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投稿者:
1969
詳細情報
  • 価格: 4935円
  • 年(代): 2003年
  • 発売元: ハピネット・ピクチャーズ
  • 人名: 監督:広木隆一 キャスト:寺島しのぶ、大森南朋
  • 2004/08/14登録
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