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文明の衝突と21世紀の日本

  • 文明の衝突と21世紀の日本の画像

"多文明世界で、日本は孤立する!「これはアメリカを代表する国家戦略家が見た21世紀の世界像である」"(帯より)

"九三年に発表された「文明の衝突」理論は、その後コソボ紛争、さらに東ティモール紛争でその先見性の確かさを証明した。アメリカ合衆国の「21世紀の外交政策の本音」を示して世界的ベストセラーとなった「原著」の後継版として、本書は理論の真髄を豊富なCG図版、概念図で表現。難解だったハンチントン理論の本質が一目のもとに理解できる構成とした。その後九九年に発表された二論文を収録、特に日本版向けに加えた「21世紀の日本の選択」は単行本「文明の衝突」読者必読の論文である。(表紙裏より)

サミュエル・ハンチントン 2000/01/23発行 集英社新書 0015A

ちなみに現代文明論<上>佐伯啓思著 PHP新書によると、ハンチントンは「9.11は文明の衝突ではない」と断言しつつ、日本向けの『引き裂かれた世界』という本の中では、文明の衝突とあきらかに考えているというそうです。
_________________________

すでにKW登録している"現代文明論 上 「西欧近代」再考"を読むきっかけになった一冊(とちゅうで向こうに行ってしまったので、まだこっちは読み終わってないけど)。

冷戦時代の世界は自由民主主義国家、共産主義国家、独裁主義による第三世界にわけられ、世界政治の構造は二極化され、第三世界で冷たい戦争の多くが起こっていたが、「現在、グローバルな国家はたった一つしかなく、他にいくつかの主要な地域大国が存在する。つまり、事実上は一極・多極(uni-multipolar)世界になっている」p21と主張するもの。

まず、冷戦後の世界は最も重要な国家の類別は、7から8に分かれ、
西欧文明
東方正教会文明
中華文明
日本文明
イスラム文明
ヒンドゥー文明
ラテンアメリカ文明
(アフリカ文明)
となる。また、
ヘンリー・キッシンジャーによれば「二十一世紀の国際システムには……少なくとも六つの大国――アメリカ、ヨーロッパ、中国、日本、ロシア、そしておそらくはインド――が含まれることになる」という。p24-25

これからの世界政治のなかで最も重要な軸と成るのは、西欧とそれ以外の世界との関係だろう。西欧はその価値観と文化を他の社会に押し付けようとするからであるp26

[中国]
潜在的に最も危険な紛争はアメリカと中国との間で起こるものである。(略)中国人の考えははっきりしている。彼らは他の大国に従属し辱められてきた時代が終わりつあると見ており、十九世紀半ばに手放した東アジアにおける覇権的な地位を取り戻すことを期待している。
 一方アメリカはつねに、西欧や東アジアを一つの大国が支配することに反対してきた。そして二十世紀には二つの対戦と一つの冷戦に勝利してそうした事態が起こるのを防いだ。p28

[イスラムの人口爆発]
一九八〇年にはイスラム教徒は世界の人口のおよそ十八パーセントを占めると推定されていた。そして現在は二十パーセントを上回っており、キリスト教徒の数をしのぎ、二〇二五年には世界の人口のほぼ三十パーセントを占めるかもしれないと推定されている。p28-29

歴史的に見ても、この世代(15から20歳)の若者が人口の二十パーセント以上を占めると社会は不安定になり、暴力や紛争がエスカレートする傾向がある。ほとんどのイスラム国家では、若年人口が激増し総人口の二十パーセントに到達しつつある。p30

イスラム=テロという見方をするわけでは、ないですが、関連: 世界テロリズム・マップイスラーム文化という本も読みました。

[一極・多極世界のパワーの構造]
国力の4つのレベル
1、超大国(一極)
 アメリカ
2、地域大国(多極)
 独仏連合、ロシア、中国、日本(潜在的に)、インド、インドネシア、イラン、イスラエル、ナイジェリア、南アフリカ、ブラジル
3、ナンバー・ツーの地域大国
 イギリス、ウクライナ、日本、ヴェトナム、韓国、パキスタン、オーストラリア、サウジアラビア、エジプト、アルゼンチン。
4、その他
また、地域大国とナンバー・ツーの地域大国の対応は、
独仏連合 ― イギリス
ロシア ― ウクライナ
中国 ― 日本、ヴェトナム
日本 ― 韓国
インド ― パキスタン
インドネシア ― オーストラリア
イラン ― サウジアラビア
イスラエル ― エジプト
ブラジル ― アルゼンチン
である。p38-40

[孤立する超大国]
この一極・多極システムでは、唯一の超大国は明らかに一極システムを好むだろう。その中で一方的な行動をとり、主要な大国との連合を確保する必要は無いからだ。
 一方主要な諸大国は多極システムを好むだろう。その中でなら、単独であれ団結してであれ、自国の権益を追求でき、より強力な超大国の規制、抑圧、要求に屈しないですむ。一極・多極システムの安定は、したがって、一極あるいは多極システムに向かって衝突する圧力を均衡させ、どの程度まで相殺できるかにかかっている。p41

唯一の超大国の指導者として、アメリカの官僚達はきわめて自然に、まるで世界が一極システムであるかのように考え、行動する傾向にある。アメリカでの力とアメリカの美徳を鼻にかけ、自国を親切な慈悲深い支配者だと考えている。(略)
 アメリカの指導者たちはつねに、「国際社会」ということを考え、その名のもとに行動していると主張するがそれは幻想であることが多い。まるで世界が一極システムであるかのように行動することで、アメリカはますます世界の中で孤立しつつある。(略)
 たとえば次のような問題がある。国連の分担金、イラン・リビア・イラク・キューバへの経済制裁、地雷禁止条約、地球温暖化問題、国際戦争犯罪法廷、小火器規制、中東・イラクや旧ユーゴスラビアへの武力行使三十五カ国を対象とした一九九三年から九六年のあいだの新規経済制裁の発動などである。p40-42

どういうわけか、アメリカの政府担当者にはわからないようだが、アメリカが海外の指導者を非難すればするほど、非難された人物のその国での評価がしばしばうなぎのぼりになるというのが実情だ。世界最強の国に立ち向かったとして賞賛されるのである。p67

一九九七年の世論調査では、アメリカが世界で主導的な役割を果たした方がいいと答えた人はわずか一三パーセントであり、他国と力を共有した方がいいと回答した人が七四パーセントだった。その他の調査でもほぼ同じ結果が出ている。p68

[日本]
アメリカと日本は、議論の余地はあるが、世界の主要な社会のうちで最も近代的である。アメリカはまた日本にとって最良の友であり唯一の同盟国である。
 しかし、この二国の文化はどちらも近代的だとはいえ、まったく異なっている。二国の相違点は、個人主義と集団主義、平等主義と階級性、自由と権威、契約と血族関係、罪と恥、権利と義務、普遍主義と排他主義、競争と協調、異質性と同質性といったもののあいだの差異として数え上げられてきた。(略)私の思うに、アメリカ人は、日本人の考え方と行動を理解するのにまだ困難を感じ、他のどの国の国民よりも日本人とのコミュニケーションを取るのが難しいと思っている。そのために、アメリカと日本の関係は、アメリカがヨーロッパの同盟国との間で築いているような、打ち解けた、思いやりのある親しいものであったことはないし、これからもそういう関係が築けるとは考えにくい。p47-48(まぁここらへん意見が別れそうなところですね)

日本の孤立度がさらに高まるのは、日本文化は高度に排他的で、広く支持される可能性のある宗教(キリスト教やイスラム教)やイデオロギー(自由主義や共産主義)をともなわないという事実からであり、そのような宗教やイデオロギーをもたないために、他の社会にそれを伝えてその社会の人びとと文化的な関係を築くことが出来ないのである。p130(ここら辺もGNCなどの考え方と対立しそうですね。新渡戸稲造の『武士道』"BUSHIDO, THE SOUL OF JAPAN"や鈴木大拙の『禅学への道』"An Introduction to Zen Buddhism等もありますし)

また文明の性質などについて書いている部分もあってp102-、ここら辺を読んでて、まず西洋文明について読みたいと思ったのですがここら辺はまとめづらいので割愛。

まぁ結局、日本としては地域大国の中国が覇権的な行動を取れば、ナンバー・ツーの地域大国としてアメリカと協調することになるだろうし、日本が潜在的な地域大国から、本格的な地域大国になろうとすればアメリカと衝突する事になるだろうし(AMFとかがそうかな)、本当に文明的に孤立しているとするならば、いざという時に他国の献身的な援助のようなものは得られないということでしょうね。考えさせられる内容だと思います。

文明の衝突と21世紀の日本

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lightcyan
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  • 2011/05/05更新
  • 2004/10/17登録
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コメント (2)

2004/10/17

おが このキーワードを見て、すぐに Amazon で購入してしました。楽しみ

lightcyan 速いですねー。でもそう言っていただけると苦労して(って言うほどでもないけど)打ち込んだかいがあります。

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