じみへん
「中崎さんは屁理屈だから」(中略)…考えてみると彼らばかりでなく、多くの人がそうだったような気がします。つまり、理屈は認めるけど納得はしないという態度です。理屈ってなんと無力なんでしょう。私はそんなことを思い知りました。(じみへん3巻あとがきより抜粋)
昔から「理屈っぽい」と断罪されることの多かった身としては、このあとがきに強く共感させられました。だからといって「理屈っぽいこと」が美徳だとはもちろん思いません。ちょっと「正義」や「真実」なんかにも似てますね。本来的に理屈なんて後付けで無力なものだし、それが発揮されるTPOいかんによっては、糾弾されるべきものもあるという。まあ、そんなことは大人になってはじめてわかったことですが(苦笑)そこんとこを踏まえた上で、少し屁理屈について思ったことを。
その善し悪しの問題はさておいて、「屁理屈」とは「可能性」を考えることでもあるのではないでしょうか。角度を変えて「ことば」を捉え直すことで、そこに別の意味を見出したり、日常の中の些細なことや、人と人との間に存在する奇妙な傾向をあえて言語化することで、普段見過ごしてしまっている何か(中崎の場合、それは主に”可笑しさ”なのでしょう)を見つけることだったり。「屁理屈」とは、自分の中に、あるいはそれを伝えることによって他人の中に、新たな「視点」を増やすことなのではないのか、と。事実、中崎はその「屁理屈」によって、私たちを思いもしなかった可笑しさや侘びしさ、嬉しさとひき会わせてくれ、人の身勝手さや欺瞞を端的に示唆してくれています。
大げさな話になりましたが、そう考えると、兎角悪者にされがちな「屁理屈」も悪くないなと思えるし、何より、3巻のあとがきで無力感を漂わせていた中崎に対して「あながち無力じゃないよ」と言ってあげたくなるのです。
…って、今こうして書いていることが、何だか「屁理屈」っぽいですね(笑) ま、とにかくこの人のこと、好きなわけです。
- 2004/10/26更新
- 2004/10/26登録
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