エミール・ノルデ
ちょっと体調が悪くて休もうと思ったのですが、天気が良かったので
エミール・ノルデ展に行ってきました。今日はほんとに陽気がよくて、
庭園美術館には日向ぼっこしている人が大勢いました。
ドイツ北部の出身の絵描きさんです。ドイツに北部といったら寒いと
いう先入観があって、暗い絵を想像してました。海をモチーフにした
水彩には冷たい水、厳しい自然が描かれており、予感があたったかの
ように思えました。
だけど空は美しかった。茜色のそら、橙色のそら、淡く滲んだ暖色系
の空のいろは、とても目に優しかった。
風車のモチーフも良かった。広い平野にたたずむ風車。青い空を背景
に吹き抜ける風が気持ち良さそうなリトグラフがありました。
花の絵もきれいでした。中でも蘭の絵は、風になびいた感じでちょっ
と小首をかしげ、お天気空をバックに気持ち良さそうに揺れていまし
た。
圧巻は最後の部屋にあった『描かれざる絵』です。直前の『幻想』の
コーナーで少しひいてしまい、さらに『描かれざる』なんて書かれて
いたので、グロテスクな、『禁断』とか、『危険』とか、いかにもあ
ぶなそうな言葉が脳裏をよぎっていたのですが、そんな心配は杞憂に
すぎませんでした。今回の展示でもっとも心動かされたのはこの部屋
です。
ちいさな水彩画は足掛け8年にも渡って描かれたものです。どれもが
色鮮やかで、どれもに趣向がこらされています。海、空、親子、恋人、
これまで描かれてきたあらゆるモチーフが自由に描かれています。歴
史的な背景には余り興味がないのですが、描いていることを気取られ
てはいけない、誰にも見せられない、そんな環境を逆手に、ひたすら
描きたいことだけに筆を走らせたのがこの時期だったのではないかな
...と思いました。最後の『若い女の横顔』は、輪郭線に陽光があたっ
てきらきらひかっています。背景の青い空に溶け込みそうな横顔。あ
るいは空を含めて大地まで包み込みそうな優しい静けさ。どんな逆境
にも希望を失わない、そんな強さを感じました。
この人の油彩も観たいと思いました。
- 2004/11/03登録
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