解夏
病によって徐々に視力を失う運命の男。故郷長崎に戻った彼の苦悩と、彼を支える恋人や母親の優しさ、温かさを描いた短編小説。
大沢たかお、石田ゆり子の主演で映画化されたものを先に観て、最近になって小説を読んだ。大沢×石田というキャスティングがこの物語にぴったりはまっていて、小説を読んでいるときも2人の顔が自然と浮かんだ。ただ、映画と小説とどちらが好きかと聞かれれば、やはり小説かもしれない。
故郷長崎の情景は、ビジュアルで見せなくても文章からきちんと想像できたし、短編でありながら、登場人物もひとりひとりきちんと描かれている。ベースは人間愛だけれど、これみよがしに感動させようという文章ではなく、心にじんわりとしみる物語に仕上がっている。
TVドラマは全部は観なかったのでなんとも言えないが、1時間×10数回ということでかなり脚色も入っていたようだ。「解夏」という言葉がこの作品の一番のキーワードなのに、それをあえて「愛し君へ」としてしまったのが残念。
映画は小説をかなり忠実に再現していたようだが、発病のシーンなどの心象風景は、文章をそのままビジュアル化していて、なんとなく違和感があった。決して悪い映画ではなかったけれど、よい小説=よい映画となるかというと、なかなか難しいものだなぁと思ってしまう。短編小説の映画化なら、『ジョゼと虎と魚たち』のが技あり!てな感じかな。
リンクは映画公式サイト。
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