シティホテル(フリータウン)
シティ・ホテル / The City Hotel (Freetown)
世界一びんぼーな国って、どんなん? ご自分の目で、このフォトギャラリー Sierra Leone Web をご覧ください。
西アフリカの極貧国シエラレオネ。その首都フリータウンにあったのが「シティホテル」。名前からして凡庸。たいしたホテルじゃない。けど、いちぶの人たちに記憶されている。なぜなら、グレアム・グリーンの小説『事件の核心』 The Heart of the Matter (1948) と、それを原作にした同名の映画 The Heart of the Matter (1953) に描かれているから。Lonely Planet にも紹介されていた。たぶんこの街の、数少ない名所の1つだったのでしょう。
1941年にイギリスの国外活動担当の情報部 MI6 に入ったグレアム・グリーンは、42年にフリータウンに派遣されて、翌年まで現地のトップとして、ここで諜報活動に従事していた。彼の上司だったのが、ソ連との二重スパイとして有名なキム・フィルビー。
1995年暮れに私が行ったとき、シティホテルはまだあった。ペンキが剥げ落ちてボロボロ。みごとに荒れ果てていた。おもての通りに立って、建物のファサードを眺めながら、ひとりで感慨にふけっていると、声がかかった。「おにいさん、こっちに上がってきて遊ばない?」 見上げると、2階の窓ぎわに若い女性が3人たっていて、そのうちの1人が手招きしていた。
シティホテルは2000年に焼失したらしい。内戦のためか、それとは別の火災によるのかは知らない。ともかく、この街や、そこに住む多くの人たちと同様に、不幸な運命をたどった。
私の乗っていた貨物船がフリータウンに接岸したとき、ポーランド人の船長は言った。「ミスター・トム、上陸してもいいよ。いいけど、気をつけてな。腕時計やサングラスや、そのほか金目のものは、ぜんぶ船に置いていくように。荷物は、なるべく持たないようにしてな」 内戦が小康状態で、首都はおおむね平穏だったころのこと。
すなおな私は、船長のいうとおりカメラをキャビンに置いていった。これで貴重なシャッターチャンスを、すべてフイにした。だから、シティホテルの写真も、だれか他人が撮ったものはないかとあちこち探した。やっと見つけた。出処は上の フォトギャラリーの中。そこには、火災「前」と「後」の写真が載っている。上にコピーしたのは、2001年撮影とされる「後」の写真。外壁だけ焼け残ったようだ。
■2008/11/08 追記
1993年12月、私よりも2年早く、このホテルを訪れたという方の記録を見つけました。ご参考まで。
* 店長のシエラレオネの思い出
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